昼めし日記

2005年8月29日
昼めしの献立 

  • 胡瓜と茄子のカレー炒め
  • サラダ(金時豆、オクラ、じゃがいも、青紫蘇)
  • ごはん
  • ピーマン、モロヘイヤ、たまねぎ、じゃがいもの汁

ご近所の日本有機農業研究会から、茄子を紙袋いっぱいおすそわけ頂いたので、おなじくひと山ある胡瓜と炒めることに。そして編集長が煮てきた金時豆でサラダを。
お湯を沸かして、じゃがいも(赤い皮。「レッドムーン」という品種らしい)、オクラを順番にゆで、ざるにあげておく。汁用のなべで昆布とスライスしたニンニクで出汁をとり、たまねぎ、じゃがいもを投入。

菜種油にカレーリーフと赤唐辛子を熱し、強火で胡瓜の水分をとばすように炒めながら、茄子を加えてさらに炒める。カレーパウダーやオレガノ、塩、レッドペッパー、黒胡椒で味付け。汁にはピーマンとモロヘイヤも加え、料理酒と醤油で整える。粗熱がとれたじゃがいもとオクラに刻んだ紫蘇と金時豆、オリーブ油・南瓜酢でサラダの出来上がり。かんたんですが、ごはんを炊くのも含めて一時間内に完成。

週末に映画『トントンギコギコ図工の時間』を見に行きました。こじんまりした映画館に、ちら、ほら、と(10人もいなかったように思いますが)お客さん。妊娠中の友人も体調を心配しながらもゆったり最後まで見ることができました。上映後、おもいがけず、監督の野中真理子さんが登場してお話をしてくださいました。
野中さんはもともとテレビの世界で「世界の車窓から」などのドキュメンタリーをつくっていた方。自らの出産・子育て中に埼玉・桶川のいなほ保育園に出会い、そこで出会った子どもたちの誇り高くきらきらした生き物としてのかがやきに魅せられ、初めて映画監督として『こどもの時間』を自主制作したのでした。

以前『こどもの時間』を見た私は、じーっとこどもをみつめるカメラの視点に、たしかさ、あたたかさ、生き物としての子どもへよせる共感のようなきもちを感じとり、このひとの次の作品もぜったい見よう!と心に決めていて。そうして見にいった映画でした。
正直言えば、『こどもの時間』のほうが、ことばにならない無音のものがよりうつりこんでいたようで好き。『トントンギコギコ~』に登場するのが、もっと大人に近づいた、小学生たちであったことも関係あるでしょう。でも野中さんも仰っていたように『トントンギコギコ~』にもうつりこんでいるものがたくさん。マンションの裏手の土手で、夢中でフキノトウを探す男の子たちなんて、東京・品川区の小学5年生とは思えません。図工の時間にどの子がつくりあげたものも、その子どもの生きた時間にあふれていて、美しかった。…もうひとつ。やはり、どんな子にも家族は大きな存在なんだな、と思わされる映画でもありました。お父さんがトラックを運転している子が、ていねいに木をみがいてトラックやタイヤの形をつくる。お父さんが漕ぐカヌーをつくる。家族がいっぱいいる子は、ちゃんと家族全員登場するできあがりになる。友達とうまくいかなかったり、家のなかでも複雑な思いで孤独をかんじている子ももちろんいるだろうけれど、それでも子どもたちが発する自然な愛が、画面にあふれて切ないほどでした。大人はちゃんとこたえられているのかな、忙しがってばかりいないかな、と思ったり。9月9日までポレポレ東中野で夏休みアンコール上映中。地方でも上映会が続いているようです。ぜひ、ご覧になってみてください。

本日のお茶 ドクダミ+たまねぎの皮。おやつのときには珈琲
本日のおやつ フランス菓子店「オーボンヴュータン」のヌガー

料理人:おおわだ


2005年8月25日
昼めしの献立 

  • ヒヨコ豆と昆布の炊きこみご飯
  • 冬瓜とニガウリのゴマ味噌煮
  • トマトと胡瓜のサラダ
  • スープはモロヘイヤとキュウリと卵

きのうカレーに使ったヒヨコ豆を炊き込みご飯に。鰹節屋さんで買った刻み昆布が、こんなときも便利。料理酒、醤油少し、塩も最初から入れて炊き込むだけです。おむすび屋さんが最近増えましたが、こんなご飯のおむすびもいいんじゃないかなぁ。

先日、パンのディップとしてつくったゴマ味噌。「バターと一緒に塗るといける」とは編集長の感想。今日は煮物の味つけに使います。大きな冬瓜にざくっと包丁を入れたとたん刃の根元で包丁がパキンと折れてびっくり。だいぶがたが来ていたようです。危なかったです。以前はもっぱら炒め物に使っていたニガウリも味噌味の煮物によく合うことを、最近実感。今夏は何度かつくりました。

サラダはシンプルに。スライストマトと塩、オリーブオイル、胡椒、オレガノ。
きゅうりのほうは、酢も加え、こちらのハーブは青じそ。それぞれ別盛りで二種類の味を楽しみます。スープにキュウリが入り、今日はウリ三昧でした。

本日のお茶 ドクダミ
本日のおやつ けしの実餅と胡桃の最中。

料理人:やまき


2005年8月23日
昼めしの献立 

  • ゴーヤーの天麩羅
  • 焼き茄子、万願寺唐辛子、トマトのサラダ
  • モロヘイヤとオクラと卵の汁
  • 葱まぜごはん

8月後半の満月は、つぎの季節「秋」への思いをそそるよう。
でも夏が終わっていくのもさみしい。

夏野菜の王様、ゴーヤー。実家・鹿児島では豆腐の白和えにしてよく食べた。冷水で洗ってあくを抜いていたのだと思うが、ひんやり冷えた木綿豆腐と、しゃきしゃきした生のゴーヤー(「にがごり」とか「にがうり」と呼んでいた)、すり胡麻の香りがなかなか夏の風情によく合った。あく抜きが足りないと、新鮮なゴーヤーの苦味は子どもにはかなり強烈で食べられない。「きょうのは苦い」と思った日は、豆腐のところばかり食べていた気がする。

いつだったか、編集長がつくってくれたゴーヤーを片栗粉だけの衣で揚げたシンプルな天麩羅。揚げたてを塩で食べたのが、さっぱりと苦味も生きて「ゴーヤーって、天麩羅にしてもおいしいんだ!」とびっくりした。その味は忘れられず、まねしてつくってみたのだが失敗。油を吸ってしまったのかな。あの歯ごたえと風味が出せない。温度が低かったのか。今度コツを聞いてみよう(編集長は不在でした)。

醤油に漬け込んだショウガのみじん切りを、長葱といっしょに炊きあがったごはんにまぜる。オクラは大きめに切って鰹だしに投入、刻んだモロヘイヤと溶き卵を入れ、キムチや黒胡椒もくわえてかんたんなスープに。
茄子と万願寺唐辛子は、網で焼いておく。少し冷めたら、塩・オリーブ油・南瓜酢(いただきもの。京都の飯尾醸造のもの)・レッドペッパーでつくったドレッシングになじませて、冷蔵庫に。ほかの皿の準備がととのったら、刻んだ青紫蘇と、冷やしておいたトマトとあわせて、皿に盛る。

本日のお茶 ドクダミ
本日のおやつ 堺の、けしの実餅。編集長のおみやげ。

料理人:おおわだ


2005年8月18日
昼めしの献立 

  • ししとう入り卵焼き
  • 根菜トマト煮
  • ツルムラサキと胡瓜の辛いスープ
  • プチトマトのサラダ
  • 麦々堂のパン

お盆過ぎて、ようやく残暑の趣。本郷近辺、人や車はまだ静か。電車も空いている。来週には日常の喧噪が戻ってくるでしょうか。
当事務所でも順番に夏休みをとりはじめ(いまだ走り回っている人もいますが)…、昼食時のあたま数が減ってなかなかおかずが減りません。きょうはのこりもののアレンジを中心に、ささっと。

先週編集長がたっぷりつくってきたししとうの佃煮。じゃこや山椒とあわせてよく登場する定番、食卓の人気も高いのだけれど先週は食べきれなかった。ごはんメニューと相性よし、だけど、ちょうど北海道の麦々堂からパンをいただいたばかり。懐の深い麦々堂のパンにならばきっと合うはずと、煮汁ごと卵のなかに投入。すこーしだけ塩などで味をととのえ菜種油でシンプルに焼く。ほんのり焦げてパリッと、醤油が香ばしく、大人味の卵焼きに。

ごろごろジャガイモやカボチャや玉ネギ、ひよこ豆に、刻んだトマトと鰹だし、黒胡椒をしっかりきかせて月桂樹の葉で煮込んだ一品は、汗や扇風機で知らず冷え気味になっていたお腹があったまるよう。

鰹だしに刻んだツルムラサキと胡瓜(縦長に短冊切り。火を通しすぎないのがコツ。ウリのような歯触りでおいしいです)、そして胡瓜とキムチと黒胡麻のあえものを投入。長葱を焼いてマリネ風にしたのこりものも加え、さっぱりすっぱ辛いスープに。醤油とキムチ、で意外とまとまります。

ようやく単行本の入稿が済みました。発売は9月初旬。またトップページでお知らせしていきます。
ひさしぶりに事務所の台所に立ちましたが(最近はほかのスタッフが連続して作ってくれていた)、材料を切りはじめればなんでもないことなのに、つい忙しいとおざなりになってしまう。食事をおろそかにするようでは、いい仕事はできないわよ、とかつて編集長に言われたことばは、痛く、胸にのこっているのですが…。

本日のお茶 水だし無農薬緑茶(かごしま有機生産組合)、ドクダミ
本日のおやつ 和菓子「加賀の白峰」(スタッフのおみやげ。胡桃の佃煮が入った「もなか」!)

料理人:おおわだ


2005年7月28日
昼めしの献立 

  • 蜜柑ジュース入り混ぜご飯 
  • とろとろ野菜汁 
  • 茄子たっぷり卵焼き 
  • 豆と野菜サラダ

千葉房総の生産者から、8月末にはもう今年の新米が天日乾燥まで終えているとの便り。それまでにまだ少し間があるのだけれど、去年の米が払底し、新米が届くまで主食をどんなかたちでつないでいこうかと話していたところに、ためていた卵パック返却のおかえしというお米が届く。ありがたや。そのお米をさっそく炊くことに。

ご飯が炊き上がったら、やはりいただきものの珍しい八朔と夏蜜柑の掛け合わせという蜜柑の汁に少し塩味をつけ、混ぜ合わせる。あら熱がとれたところにゆがいたトウモロコシ、インゲン、キュウリと、千切りしにした蜜柑の皮もを混ぜ込む。八朔の個性が加わり爽快感が増した蜜柑ジュースで夏向きのさっぱりごはんに。

先日、寄居町の「野の扉」にお邪魔した折、いただいたトマト水があまりにおいしく、唸っていたら、パック入りで1本、いつもの野菜のボックスにおまけで入ってきた。どんなものかというと、トマトピューレを仕込む際、トマトに熱を加えるとけっこうな量の水分が出てくる。これをざるで落としたもの。”水菓子””水蜜桃”などを思い出させるレトロな響きのこの「トマト水」、軽く塩味もついていて、うまみたっぷりのスペシャルなドリンクです。伊藤家の夏のハードな野良仕事を支えるアクアウォーターかもね。

鰹節が切れていたこともあり、このトマト水と、料理酒・蔵の素を入れただけの水に塩、しょう油を加え、キュウリ、オクラ、カボチャをたっぷり入れてことこと煮たら、だしいらずでおいしく仕上がりました。彩りにミニトマトも添えて。

茄子はざくざく輪切りに。使い切れずだいぶ残っていたキャベツも千切りにして軽くオリーブ油で炒めてカサをへらし、溶いた卵のなかへ。塩、コショウ、刻んだバジルも加え、たっぷりめの油で分厚く焼き、切り口をみせて盛り付けたら、いつもと違う出来栄えにみえます。

サラダの豆は米国産キドニービーンズ。金時豆の種類らしい。長時間煮ても色が褪せず、他の素材とのコントラストが鮮やか。キュウリ、玉ネギと合わせシンプルなサラダに。

本日のお茶 ドクダミ
本日のおやつ ブラウンライスのミントチョコケーキ

料理人:よこやま


2005年7月26日
昼めしの献立 

  • 黒米ご飯 
  • 冷や汁(茄子、キュウリ、オクラ、ミニトマト、フォー) 
  • 千切り人参の胡麻味噌和え 
  • ツルムラサキのおひたし 
  • 豆のサラダ(キドニービーンズ、ヒヨコ豆、玉ネギ)

上野の国立博物館で開催中の「縄文VS弥生」展が見たくて、日曜日夕方、閉館まであまり時間がなかったが、自転車を走らせ30分前に滑り込む。最近、考古学上の発見が相次ぎワクワクさせてくれる縄文のほうをもっぱら見て回った。豊富な木の実を採取、道具を使っての漁労や狩猟などで人々が多彩な食生活を営んでいたことがうかがえる。犬を埋葬した跡が再現されたコーナーには、縄文の人々は犬を食用としてではなくもっと近しい存在としていたのではないかとの説明もあり、遙か古えの縄文ワールドに魅せられてしまった。

いっぽう弥生時代の始まりも、最新のデータによれば少なくとも500年は遡れるとのこと。縄文最後期と弥生が重なっていくころには稲も登場してくる。

古代の米といえば、大方は糯(もち)種だったとのこと。もともとは赤米が多かったようだが、ここ10年ほどのあいだに、その赤米の栽培も少量ながら復活。さらに黒米もけっこう見受けられる。事務所でも色んなところから赤米や黒米をいただいたりする機会が増えた。
赤米、黒米とも、普通の米に1~2割ほど混ぜて炊くと、全体に色がついて美しい。ちょうどお米のストックがつきたところだ。しばらく前にいただいたままになっていた黒米があるから、今日はこれだけを五分搗きくらいにして炊いてみた。炊きあがったごはんは濃い紫色に輝いている。もっちりとした食感で、腹もちもよさそう。

冷汁は、茄子とキュウリをそれぞれみじんに刻んで軽く塩をまぶし水気をしぼったのをたっぷり用意。塩、しょう油で味つけし冷ましておいたただし汁に、茄子、キュウリ、やはりみじん切りにしたオクラと、水で戻してからさっと熱湯でゆがき、水さらししたベトナム麺のフォー、ミニトマトも加え、味をととのえる。あまりキンキンに冷たくしないほうが野菜のみずみずしさが味わえます。

人参はひたすら千切りにしたら、鍋を熱してカラ煎りし、胡麻味噌で和える。しょう油、酒、刻んだだしガラ、水を煮立て冷ましたたれで、ゆがいたツルムラサキを和え、おひたしに。いっしょに盛り付けたら色のコントラストが鮮やか。

冷蔵庫の中にキドニービーンズとヒヨコ豆の煮たのが入っているのを思い出し、玉ネギをスライスし、オリーブ油と塩、酢のシンプルサラダを追加で作る。玉ネギは水さらししなくとも辛みがなく、サラダに使いやすいのがありがたい。

本日のお茶 ドクダミ+ヨモギ+宿根ソバ
本日のおやつ ブラウンライスのミントチョコケーキ。フレッシュなミントの香りがぜいたく。甘さ抑えめのチョコともいいバランス。

料理人:よこやま