昼めし日記

 2010年8月31日

  昼めし献立 

  • カボチャとオクラの煮物
  • ワカメと春雨とキュウリ、ゴーヤのナムル風
  • 干し海老入りサラダライス
  • モロヘイヤと麩の吸い物

★★昼飯コラム★★

  懐かしいシオカラトンボ

「安定した太平洋高気圧のおかげ(?)できょうも最高気温35度」と手もち無沙汰ぎみに伝えるラジオのお天気キャスターに筋違いの文句を言うわけにもゆかず、25分の自転車通勤をさぼって久しぶりにバスでご出勤。始発だから座れるし、わずか15分ほどだけれど、短いエッセー1~2編は読めるしで、楽チンなことこのうえなし。
発車してまもなく、反対側の席のほうからビ、ビ、ビ、ビ~と気ぜわしい音がして、目をやるとトンボがガラス窓のあちらこちらとやみくもにぶつかって立てている音でした。窓はびっしり閉まっていて、開くかなあと思いながら見上げると、横長の細い窓が。六十肩に響かないよう、すべり具合のひどく固い窓を20センチほどようやく開けたけれど、こっちに来てくれるかなあ。目の前でジタバタしているトンボにまったく目もくれず携帯に夢中なのは二十歳そこそことみられる若い女性。あ、反対側に座った女性も頭の上の窓をこじ開けてくれている。こちらは30代後半といったところか。
トンボは大きさから、シオカラトンボかな。子どものころはさんざん追っかけていたものです。…
どうやら少しばかり開いた窓からトンボは思ったより早く脱出できたようでした。
昆虫たちが束の間のいのちを燃焼する夏。ため息もらすほどかすかながら、早朝の空気や、からだを包む夕暮れ時のほてった風のなかにも涼やかさが忍び込んで、季節の変化は少しずつ確かな感触になってきています。
あぁ、涼しくなったらなったで、夏バテに襲われるんだろうなと、もう片方では早手回しの現実を引き寄せてしまいました。

 本日のオイシイ!

秋近し。カボチャのおいしさがひき立ちます。

天ぷらがイチバン、煮物はちょっと、と言わず、作ってみて。


夏の終わりから秋にかけてのカボチャ。甘みがのっておいしくなりますよね。私の世代だと、子どものころ、カボチャといったら、まずは表面に入った筋がクワッと中心に食い込んだ形のカボチャではないかしら。ねっとりと水分が多く、煮れば汁をたっぷり含んで口のなかでとろけそうに。
天ぷらと言えば野菜揚げと、相場のきまった庶民の食卓では、このカボチャが主役のひとり。それからサツマイモ、インゲン、茄子、牛蒡…。今のような新顔野菜なんてほとんどありまっせん。近所に油屋さんがあって、一升瓶を持って白絞油(菜種油を精製したもの)というのを時々買いに行かされたっけ。量り売りの時代です。
明けても暮れてもこんなところ、1960年代も半ばを過ぎる頃には、現在主流のホクホクした果肉の“西洋カボチャ”(とか北海道カボチャとか言ってた)やピーマンも登場。我が家では神楽ナンバンという辛味のある、ピーマンの野生種のような姿をしたのを大人はウマイうまいと食べていました。

で、ことしはカボチャの煮物がマイブームに。せっせと家でも事務所でも作っております。
だいたいは面取りなんぞというめんどうなことはやらず、角がくずれたっていいわ主義でいくのだけれど、ことしは何回か、仕上げの美しさにも挑戦してみるかと、面取りして煮てみました。これはホクホクのエビスカボチャタイプ(品名は違ってたけど)。カボチャに甘みがあるので、砂糖も味醂も使わず、だし汁と酒を煮たて、塩と醤油をひと差し。これでも甘いものの苦手な人には甘~い!といわれそうな仕上がり。最後の煮汁でオクラをさっと煮たのをあわせて。

ナムルは、すりおろしたニンニクと塩ポン酢(全農直営店で発見。アミノ酸無添加が気に入ってただちにゲット! 橙果汁と酢と塩、昆布だしなど)と、だし汁少々、ごま油のドレッシングで、軽く塩もみして水気を絞ったキュウリと、春雨と、揉み海苔を和えます。韓国のナムルほど個性は強くなくて、ソフトナムルとでも名づけましょうか。

ごはんにも、甘夏果汁のほかにこの塩ポン酢を使ってみます。干し海老も一緒に炊き込み、
粗熱がとれたら、キュウリの塩もみを混ぜ込んで。

吸い物はモロヘイヤと車麩の具で。だし汁、塩、醤油少々で味つけ。

本日のお茶

ドクダミ(新潟・松之山産)とヨモギ(ご近所…犬の散歩道を避けるのは至難の技だわね)    

                                                                 料理人:よこやま


 2010年8月30日

  昼めし献立 

  • 三尺ササゲと薄焼き卵の豆板醤炒め
  • スルメイカとジャガイモの煮物
  • キュウリ、ワカメ、春雨のサラダ
  • 甘夏果汁入りごはん
  • モロヘイヤと油揚のスープ

ゆく夏を惜しむにしては、蝉たちの合唱のにぎやかなこと。畑から届く野菜はまだまだ夏のエネルギーをたっぷりと湛えて、秋を迎えるからだをつくってくれています。

降りしきる蝉の声。
オーシ ツクツク、オーシ ツクツク
姿は見えねど、残り少ない夏を思わせる、つくつく法師。ジ~ジ~とひどくにぎやかなアブラゼミの響きを縫って名残の夏を歌っています。

連日、「最高気温34度」と変わり映えしない気象情報にうんざりしながら、強烈な陽射しと蝉時雨の中を自転車を走らせ出勤です。8月に入ってから当事務所もエアコン稼働日数1週間の新記録。あまり汗をかかない、という不思議な感覚をあじわいつつ。
さらに暑い暑い埼玉は寄居の畑から、瑞々しい野菜が途切れずに毎週ちゃんと届くのはほんとうにありがたいこと。野の扉のみなさんの労働に感謝!
月曜日の昼飯は先週の野菜で作るのだけれど、野菜の鮮度が長持ちするのにも大いに助けられています。
さてさて。
ひとつは、三尺ササゲ。30年ほど前、関西の市場で始めて見かけてビックリ。三尺といえば1メートル近く。実際それくらい伸びるらしいが、伸びればおいしいというものでもないようです。手元のは40センチくらい。扱うにはちょうどいいです。
ほかのインゲンにくらべ水分が少なめなので、炒めものに活躍してくれます。本日は、薄焼き卵とあわせて。油をひき、ニンニクと豆板醤を軽く炒めて香りをだしたところに三尺ササゲを入れて炒め、酒と醤油を少々。せん切りにした薄焼き卵も加えて味を馴染ませればオーケー。夏向きピリ辛の一品。
もう一品は、家でつくったもの。イカを煮て半分ほど味がついたら、煮汁でジャガイモを煮て、あとで合わせてもうひと煮し、味を含ませる。他にも大根はいうまでもなく、サツマイ、茄子もイケます。

サラダのドレッシングは、バルサミコ酢(黒酢でもいいかも…と言ってた人も)+醤油と胡麻油(香りのいい上等なのをほんの少し)。夏にはぴったりの春雨と、キュウリ。それにワカメ。

スープは、鰹節と刻み昆布をあわせただし汁に塩で調味。モロヘイヤと油揚げを細かく刻んで。卵消費をかねてかき玉スープに。

ごはんは、甘夏の果汁と水を同量くらい、干し海老を加えて炊きました。

本日のお茶

ドクダミ(新潟・松之山産)とヨモギ(ご近所…犬の散歩道を避けるのは至難の技だわね)    

 

                                                                 料理人:よこやま


 2010年8月27日

  ●昼めし献立 

  • 茄子と車麩の麻婆
  • オクラのカシューナッツ和え
  • 夏野菜サラダ(キュウリ、トマト、紫玉葱)
     
    おろし玉葱入りドレッシングで

  • 間引き大根と油揚げの味噌汁

 本日のオイシイ!

「むちっとした噛み心地と色つやがお肉みたい!」と歓声あげ

た30代と、「麩だよ~ 子どもの頃から食べさせられてたの」

と感激薄い親世代。でもおいしいのはいっしょ。

今年、遅まきながら麻婆料理にめざめさせてくれたのは、感覚を刺激する素晴らしい香りの中華花山椒。
つややかな茄子紺の色には、料理”魂”(ハハ、おおげさ‥)をむらむらと喚起させるものがありますしねえ。というわけで、食べて、食べてと誘惑する茄子を山椒の香りとともに麻婆茄子にしました。相棒は油との相性もいい車麩。
この茄子&車麩麻婆をひと口食べた30代の若いスタッフが「うわ~、お肉みたい!色といい、食感といい」とびっくりしていましたが、その親世代の私にとって、麩なんてあまりにありふれた食べ物で、”肉”と重ね合わせてみるなど考えも及ばないことなので、お肉中心の学校給食で育った世代の、食卓に「肉」料理があるのがあたりまえの感覚から思わず出た表現がじつにおもしろかったです。しっかり噛み心地もある車麩はたしかに色んな料理にもっと活躍してもいいかもね。

オクラはさっと湯がいて、すりおろしたカシューナッツを混ぜ合わせた醤油味のだし汁に浸け、少し味をしみ込ませます。事務所からの帰り道にある、居酒屋のメニューから拝借。懐ろに負担のかからない値段と、若き板前さんのセンスがなかなかよくて、たまに立ち寄ります。

サラダは定番の夏野菜を、盛りつけだけ変えて。満艦飾だわね。ちょっと恥ずかしく思う世代デス。辛みの少ない玉葱をすりおろして、酢、塩、オリーブ油のドレッシングをかけました。

本格的な秋に向けて、猛暑の畑でけなげに生きている大根の間引き菜が届きました。径1センチほどの細い根も葉もまだまだ幼く、ざくざくときざんで、さっと味噌汁へ。口の中だけでも秋の気配を味わって、ほぉ~っと一息。

★★昼飯コラム★★

  枝からもいで食べまくった無花果の甘美な記憶

先日、近所の八百屋ではじめてイチジクを買いました。よく熟れておいしそうに見えたのです。あまり大きすぎないところもいい感じでした。
わが家の裏庭にあった無花果の木に毎日のように登って、美味そうに熟れたものからもいでは食べていたあの甘美な記憶。とうとう熟れずに木に残った最後の実までとり尽くし、母が砂糖で煮て鍋いっぱいの甘露煮にしてくれるのを、まだかまだかと火のそばで待っていた楽しい想い出などもあり、なかなか無花果を買って食べる気にはならず、長い歳月が過ぎていたというわけです。
買った無花果のお味は…? 記憶が美化されやすいということを差し引いても、あの、木で熟した無花果のが凝縮した甘みとねっとりした果肉のおいしさにはとうてい叶わず、というところ。こんなものだろうと想像していたのでそれほどがっかりもしなかったのだけれど。
”日本イチジク”と”西洋イチジク”と呼んでいた2本の木が庭にはありました。西洋のほうはすっと背が高く、小学生では登れなくて、父や兄にとってもらっていたけれど、よくいえばさっぱりした味。甘みが薄く、なにかもの足りない。それにひきかえ日本イチジクは低い位置から太い枝が四方に伸びていて、登るのに格好の木でもありました。
隣家の柿の木にもしょっちゅう登っていて、こちらは、「柿の木は折れやすいから」と母がいつも心配そうにしていたことも思い出します骨折もせず無事に大人になったのは不思議なことに思えるほどお転婆(も死語か)。
いま、果物の木が葉を繁らせられるほどの庭をもつなんて、贅沢なことでしょうかね。柿、無花果、蜜柑、杏…お店で買わなくても、実がなるまでゆったり育てる楽しみ、プロの農家がつくる見栄のいいものほどでなくても、自家製の果物が食卓にのぼる暮らしっていいですよね。そういう私には、夢のまた夢の話ではありますが。

本日のお茶

ドクダミ(新潟・松之山産)とヨモギの薬草茶    

                                                                 料理人:よこやま


 2010年8月24日

  ●昼めし献立 

  • ノラのライ麦入り食パン
  • ジャガイモ2種と蒸し茄子、パプリカ/ピーマンのサラダ
  • キュウリと若布の芥子醤油和え
  • トマトと玉葱のかき玉スープ

 本日のオイシイ!

サツマイモのような紅色の皮の鮮やかさや、濃い黄色の肉質 ‥と、種類も味も広がったジャガイモに、茄子紺もきれいでしょ。

パンは野の扉・伊藤ご夫妻の息子、雪丸くんが自宅の工房でつくっています。きょう届いたばかりの3割ライ麦が入った食パン、ライ麦の酸味もほどほどで、リッチな食パンより、こっちのほうが好きかも。メリハリのきいた料理と相性がよくって、パンも料理も味を引き立て合っているよね。
先日都内のスーパーで見つけた「佐渡バター」(佐渡島‥平成の合併で全島が新潟県佐渡市になった)も添えました。ミルクの風味が生きてる、新発見の地産商品です。スタッフ手づくりの杏ジャム、甘夏ママレードもそろって、本日はパン日和といったところ。


ジャガイモを使ったサラダ。皮の紅色がきれいな「レッドムーン」「インカのめざめ」の2種と、さっと蒸した茄子、オレンジ色のパプリカに緑のピーマンでどこかエキゾチックな彩りに。
去年バイトに来てくれていたしろがね嬢(いまは、ほやほやマダム)の蔵王土産のドレッシングであえました。ホエー(牛乳からチーズをとった残り。でもカスじゃないんですよ。栄養分がたっぷりあって牛さんにもあげたりするそう)をベースに、植物油、酢、卵黄、玉葱、アンチョビ、はちみつ‥と贅沢にいろんなものが入っていて、マヨネーズとドレッシングの中間といったところ。
アミノ酸などの化学調味料無添加というのも、くどい味じゃなくて気持ちいいです。

スープのだしはいつものとおり、鰹節で。気もち薄めにとります。トマトは天然アミノ酸がたっぷりあるし、玉葱からもだしや甘みがでるので。これだけでもじゅうぶんおいしいのに、だぶついてきた卵の消費もと欲張って、かき玉スープになりました。

★★昼飯コラム★★

   手回しの氷水(こおりみず)
  汗だくで出前してくれたおばさん

風呂のある家がまだ少なかった昭和30年代の地方都市の下町。一に遊び、二にも遊び、宿題忘れて廊下に立たされても、遊びだけは忘れず(親も打つ手なしとあきれてたみたい)の小学生時代。清潔好きの兄は毎日お風呂屋さん(”銭湯”とは言ってなかったな)に行っていて、いつも石けんの匂いがしてたけれど、遊びに忙しい私を風呂屋に連れていくのに母はずいぶんてこずったらしい。女の子がまっ黒けになって遊び呆けているのだものねえ。
風呂屋は家から歩いて5~6分のところ。当時の銭湯は夜の7時、8時といったら、文字どおりの芋洗い状態。蛇口も洗い場所も確保するのがたいへん。裸のおばちゃんたちが殺気だっていたり。のぼせ一歩手前状態で風呂屋を出ると、すぐ前にはお菓子やパンを売る店があって、夏は、氷水(かき氷のこと)も出す。電動ではありません。おばさんが汗だくになって手回しするのだけれど、風呂上がりの客が外まで広がって大繁盛。イチゴやメロン(もちろん色と香料をつけた砂糖水)5円。この氷水にありつけるのはたまにだけれど、おいしかったあ。
とにかく氷水の注文の多いことと言ったらたいへんなもので、氷水で夏場、そうとう要り上げたのではないだろうか。氷水の出前までしていたのだから、スゴイ。
わが家でも日曜日など、ときどき出前をしてもらっていた。おばさんがおかもちに氷水を入れて走って届けてくれるのだ。ラーメンが延びるのと、氷水が溶けるのとどっちが早いか!というくらい、おばさんの姿が見えるまで気がもめてしかたなかった。
溶ける分を割り増ししていたのかもしれないけど、汗をかきかき駆け込んでくるおばさんが実にたのもしく、かいがいしくみえた。子供心にひどく感動していた気がする。
エアコンも冷房もなく、団扇の時代のこと。

本日のお茶

ドクダミ(新潟・松之山産)とヨモギの薬草茶。 

 

                                                                 料理人:よこやま


2010年 8月3日

  昼めし献立 

  • ゴーヤと長茄子入り玉子焼き
  • 夏野菜のサラダ
  • ノラの天然酵母食パン
  • 茄子と車麩の味噌汁

本日のオイシイ!

麻婆茄子には「マー坊」茄子 って、駄洒落じゃありません。中国野菜の改良品種だそう。ソフトな味わいが持ち味かな。ゴーヤと一緒に卵焼きに閉じ込めました。

野の扉からは、ほとんど予告なしに、初めて見る野菜が入ってきます。こちらも本業で忙しいため、「わ、青い茄子だよ! ずんぐりしてる」「丸い瓜みたいなのが入ってる。へぇ~、これもズッキーニなんだ」などとワーワー言いながら、だいたいは料理法も調べず、成り行きまかせ、どんな仕上がりになるんだろうかと不安と期待半々、調理開始となります。

今週で2度目の登場となる、このひょろりとした長茄子も、新しい品種のよう。じつは料理を作ったあとで、野の扉のホームページと種苗会社のサイトで調べて、中国野菜を改良した「マー坊」という茄子と知ったしだい。「麻婆茄子に使うとおいしい」って、駄洒落みたいなネーミングが笑えます。
まずは、この“マー坊”茄子と、ゴーヤをそれぞれスライスして油で炒め、コショウ少々と塩で薄味をつけ、溶いた卵に混ぜ込みフライパンで卵焼きにします。
みじん切りの玉葱とトマトをざく切りにして鍋にかけ、白ワインとカイエンヌペッパーを加えて煮詰めたソースを玉子焼きに添える。ゴーヤの苦味が卵でちょうどいいぐあいに。油を吸った茄子もソフトな口あたり。トマトソースとふんわりホロ苦卵焼き。お子ちゃまに食べさせるのはもったいない。大人の味というところ。

気温の急上昇とともに、もう毎週、夏野菜のオンパレード。少し前まで、ああ~、貴重なトマト! とてもいっぺんに食べられやしない、なんてケチケチ使っていたのが、先週あたりから、3種類ものトマトがわんさかとボックスに入ってくるし、つやつや茄子に、指にとげが突き刺さりそうなキュウリ…と、想像されたくないけれど、野菜を両腕に抱えて鼻息あらくなっているこのごろであります。

よりどりみどりの夏野菜から、(またもや)ゴーヤ、キュウリ、玉葱、ピーマンをひたすらスライス。ゴーヤは軽く塩でもみました。これらをあわせて、香りを楽しむくらいの量のオリーブ油を全体によくからませ、塩と酢を混ぜ合わせただけの、シンプルサラダを一皿。“素材主義”に徹したら、これがまた滅法ウマい! 彩りに散らしたプチトマトも程よい酸味です。

野の扉・ノラの天然酵母食パンも野菜といっしょに届きました。中身もしっかりしていながらソフトに焼き上がって、食パンにしちゃあちょっと贅沢じゃござんせんか。トーストにしただけでもおいしい。
レシピの締めは、味噌汁を車麩とマー坊(長)茄子の具で。バイトスタッフの中村嬢がおうちの庭でとれましたって、持ってきてくれた可愛らしい茗荷をきざんで薬味に。さすがに年中スーパーにあるのと違って、香りもしっかりしてる。茗荷のあのなまめかしい香りにすっかりハートを奪われているヨコヤマなので、一袋なんぼの茗荷を手に入れたら、冷奴に山のようにかけてしまい、豆腐を食うのか茗荷食いかわからなくなるくらいの茗荷好きなんだけど、ま、お盆過ぎの楽しみにしときましょ。

本日のお茶

ドクダミ(新潟・松之山産)とヨモギ(ご近所…犬の散歩道を避けるのは至難の技だわね)    

                                                                 料理人:よこやま


2010年 8月2日

  昼めし献立 

  • モロヘイヤと車麩の甘酢餡仕立て
  • カリカリニンニクとカシューナッツ入りライス
  • ツルムラサキと千切りジャガイモのおひたし
  • ツルムラサキと豆腐の味噌汁

本日のオイシイ!
片栗粉も要らないほどの、とろとろ、ねばねば揃い!

灼熱の国エジプトからやってきた、お陽さま大好き野菜の

モロヘイヤと、緑濃いツルムラサキが食欲をそそります。

梅雨明けと同時にやってきた連日35度といった猛暑の日々に、暑く長い夏を覚悟したのでしたが、この1週間ほどは、比較的過ごしやすく…その間にいくらか暑さにからだが慣れてきた気がしませんか。還暦過ぎの身には要注意“熱中症”というわけで、水をこまめに取るようにはしているけれど、野菜好きでよかったぁ。ほとんどの野菜の90%は水分ですもの。しかもビタミン、ミネラルたっぷりときてるから、ただ水だけ飲むより、水分とお陽さまをいっぱいに浴びて滋養に満ちた野菜料理をもりもり食べていたら暑い暑い夏を元気に乗り切らせてくれるにちがいないと思っとります。

有機野菜の産直では夏の定番となったモロヘイヤ。小ぶりの桜の葉と見えなくもないけれど、刻むとすぐに粘りが。おなじ夏野菜のオクラと、とろとろを競っています。
そのとろとろ感をめいっぱい味わえるよう、細かく叩くように刻みます。戻した車麩も粗みじんにして、たっぷりとっただし汁を砂糖、醤油で濃い目に味付け。乾し海老と車麩を煮て味を沁みこませたところに、刻んだモロヘイヤを(両手で包めるほどの量が手元にはあり)を加えて煮立たせ、最後にスライスしたキュウリも入れてひと煮立ちさせたらできあがり。片栗粉なしで甘酢仕立てのとろりモロヘイヤ&車麩煮に。これを揚げニンニクとカシューナッツ入りライスにかけていただきます。

あら、こちらも、ねばねば!。肉厚、濃い緑色も艶やかなツルムラサキも「食べてよ」と言ってます。あの匂いがちょいと苦手という人もいるけど、これを食わずして夏を送ることあたわず…といいたいほどの個性あふれる夏野菜でございます。
にもかかわらず(?)、だし醤油のおひたしてシンプルに食べるのが意外やツルムラサキの個性的な味わいを引き立てて、おいしいんですね。以前、ごま油とおろしニンニクでツルムラサキのナムルをつくったときは、これ、合うわねえと、感心したことがありましたが。
で、本日はさっぱり系の、だし醤油(だし汁と常備の割り下を合わせるだけ)でいきます。ジャガイモ(黄色が鮮やかな「インカのめざめ」です)の千切りをさっと湯がいたのと、蕪を漬け込むときに使った昆布の千切りと合わせて。彩り、きれいですね。

 ★★昼飯コラム★★

 身近な野菜になったモロヘイヤ

灼熱の砂漠の国エジプトからやってきたモロヘイヤ。有機農業の農家では、早くからこの新顔野菜の栽培に取り組まれた方も多く、80年代後半には事務所に届く産直野菜の中に入ってきていました。
85年頃と思うけど、雑誌『自然食通信』(現在は休刊)編集部に、このモロヘイヤを日本に普及させたいので、栽培してくれる農家を紹介してくれないかと、「種」を持って女性が訪ねてこられた。
「エジプトでは古代より王様の食べる野菜と言われて、たいへん栄養豊かな野菜です」と熱心に語られていたことを思い出します。
当時、外来野菜より、日本各地の風土で長くつくられてきた野菜の価値の再発見を…と考えていたので、その方が「種を分けて、育ててもらいたい」と言われるのにあまり乗り気になれなかったのですが、栽培は地道に続けられ、あれから四半世紀という時が流れて、モロヘイヤもスーパーの高級野菜の売り場から、ずいぶん身近な野菜になりました。
包丁で刻めば刻むほど、とろとろ感が増すモロヘイヤ。地球温暖化が叫ばれるこの頃、“灼熱”化傾向が増すばかりの日本の夏に、エジプト原産野菜も住みやすくなったと感慨しきりかも。

本日のお茶

ドクダミ(新潟・松之山産)とヨモギ(ご近所…犬の散歩道を避けるのは至難の技だわね) 

                                                                 料理人:よこやま