昼めし日記

 2010年9月16日

  ●昼めし献立 

  • 冬瓜とザーサイと干し海老の薄味煮

  • 茄子2種(緑茄子&マー坊茄子)とシシトウ、ジャコ炒め
  • カボチャと油揚げと間引き大根菜の味噌汁
  • 茹で落花生の炊き込みごはん

 本日のオイシイ!

ひと昔前、両手で抱えるくらい巨大だった冬瓜も、いまじゃ

改良技術の進化で手頃なサイズに。「瓜の皮は殿様に、梨の皮は乞食(死語デス)に剥かせろ」の諺は健在。殿様気分の皮むき…

田舎から東京に出てきて、ラグビーボールを左右にびよーんと伸ばしたような姿の「冬瓜」を初めてスーパーでみたときの驚きといったら。今なら、小分けになっていたり、ミニサイズのものもあるけれど、直径も15センチくらいはあったのでは。あんなに大きかったら、山のようにできてしまうじゃないか、そんなにたくさん誰が食べるのかしら、どんなふうに料理するのだろうか、と想像もつかなかった。
初めて冬瓜を食べたのは、関西出身の知人が作ってくれた薄味のだしで冬瓜を煮含めたもので、そのおいしさに感歎、あの鈍そうな容姿の冬瓜がこんなにとろけるような上品な味になるなんて。ただ、あのどでかい図体におそれをなし、自分で冬瓜料理をつくったのは、冬瓜とのはじめての出会いから5~6年も経っていた。珍しい食べ物にはすぐ手をだす私にしては珍しい。少人数家族むけに、半分、4分の1サイズにと切り分けたのが店頭に出回るようになってからと思う。

料理書なども見ず、いきなり、だし汁で煮ていたせいか、冬瓜に軽い酸味が残るのが気になり、よそでいただくときよりおいしくできないなと、出来上がった味に満足できず、それほど熱心にはなれなかったのだけれど、つい最近、時々寄る居酒屋「萱」の女将に「まず、水から煮るの。火が通ったら出し汁の鍋に移して薄味をつけてさっと煮たら、冷めるまで置いとけばいいのよ。簡単よ」と教えてもらったら、すぐそのあと、野の扉から小振りの冬瓜が届き、いいタイミングと、さっそくチャレンジ。
目標は上品な和風だしの薄味にだったのに、おいしいザーサイを見つけていたこともあり、干し海老と昆布のだしでなぜか中華風へと微妙に軌道が代わってしまう。
スライスしたザーサイを胡麻油で炒め、茹でて水切りした冬瓜、鰹節、干し海老、刻み昆布のだし汁を冬瓜がかぶるくらいに入れ、酒、塩で薄味にととのえて15分ほど煮たら火を止める。盛り付ける前にもう一度火を通し、葛か片栗粉でとろみをつける。。
ザーサイの発酵した軽い酸味で冬瓜の酸味はどうなったのやら。これはこれで新しいおいしさが生まれた気がするのだけれど…?!
若いときから、どうも私の料理は、料理書を見ながら始めても、材料が手元になければ、あるものを使ってしまうし、ま、いいでしょ、なんていってるうちに、出来上がり写真の料理と違ってしまうなんてざら、だいたい、レシピをみながら料理なんかしてたら、調味料を入れるタイミングや火加減、茹で加減などのタイミングを外しそうだから、あれれ、ちょっと違っちゃった、なんて言いながら、これでけっこうオリジナルな料理ができてしまうと、こっちでよかったみたい、と自画自賛。
また機会をみて、上品な日本料理の定番、冬瓜煮に再トライしようっと。

茄子2種(緑茄子&マー坊茄子)とシシトウ、ジャコ炒め

本日のお茶

エクアドル・インタグコーヒー    

                                                                 料理人:よこやま


 2010年9月15日

  ●昼めし献立 

  • 豆腐のハンバーグ風トマトソースかけ
  • たたきキュウリと生ヒジキ、春雨の塩ポン酢即席漬
  • ごはんと味噌汁(間引き大根菜と油揚)

 本日のオイシイ!

トマトに醤油や昆布のだしが馴染むのは不思議? それともあたりまえ?

硬い大豆が海のにがりの助けをかりてふんわり真っ白な豆腐へ。実際に作ってみると何やら化学の実験のようでもあり、かつ神秘的でもあり。そうして生まれた豆腐の何と魅惑的なことか。もっとも、私も豆腐大好き人間のなかには入るだろうけれど、“偏愛“というほどにあらず。百種料理に挑戦といった好奇心より、どちらかというとあまりいじらず豆腐のおいしさを素直に味わいたいほう。

この豆腐バーグも、厚揚げの外側を外して中身を崩して、卵とパン粉を少しと刻んだシシトウを加えて混ぜ合わせ(きめ細かくするか、粗めにするかは好みで)、俵型に丸めてフライパンで焼くという簡単料理。がんもどきの生地をひとひねりすれば、ね。
トマトをざくざくと刻み、粗みじんに刻んだ玉葱といっしょに酒と醤油で煮詰めたソースが豆腐バーグと違和感なかったのはもうけものかな。トマトに含まれる天然の旨味グルタミン酸ナトリウムが、醤油や昆布のような伝統的な旨味とよく馴染むんですね。当然といえば当然かも。

前日の塩ポン酢漬けの漬け汁が残っていたので、それを少し増量、叩きキュウリと、熱湯をくぐらせた生ヒジキと春雨を加えて和えました。何十年と、ヒジキといえば乾物が常識で、たぶんどこの家でも乾燥ヒジキが台所の引き出しに常備されていたはず。それがこのごろは生のヒジキが生鮮品の売り場に並ぶように。おから煮や大豆、蓮根などと煮たりしていたのが、酢の物・サラダなどフレッシュな使い方にも手軽なので、ちょくちょく使います。うれしい素材のひとつ。

刻んだ昆布や鰹節の出しし汁、塩、米酢や柑橘酢を合わせれば何回分かの漬け汁がかんたんにできるので、市販の即席漬けを買うことはないけれど、あの“アミノ酸”味がほとんどの浅漬け食品、なんとかならないものですかねえ。

★★昼飯コラム


  ”水切り”のひと手間が省けて
  横着者にはありがたい厚揚げ活用術

ふと、チャンプルー作ろとか、白和えが食べたいなという気分になって、あ、豆腐の水切りをして…それに10分か15分かかるなと思ったとたん、面倒くさくなり、たちまち、ま、いいわ、温奴くらいでとか、味噌汁に入れよ、などと宗旨変えすることも多かったのが、あるとき、厚揚げの外側と中身を使い分ければ! と閃いた(というほどでもないか)。
厚揚げの外側をうすくそいで、こちらは炙って生姜や茗荷などの薬味をのせたり、おひたしに入れたり、もちろん味噌汁にも。中身のほうはそのまま水きり豆腐と同じように使えるので、この横着な手法、忙しいときには調法しますよ。
最近はお店で“水切り不要”というガッシリした豆腐も売られているし、沖縄の島豆腐も近くで買えるようになったしと、豆腐好きにはうれしい近年の豆腐事情であります。
『豆腐百珍』なんて本が江戸時代にベストセラーになったくらい、食卓に馴染んできた豆腐。醤油とともに今や欧米でもJapanese food の代表として入手も容易とのこと。
1960~70年代ころには「殺菌剤」が添加されたり、強力な凝固剤でプリンのような水増し豆腐が大手を振ってまかり通っていて、独り暮らしをはじめた当時、5年あまりも豆腐を買わない食べないと、ささやかな抵抗を続けたすえ、「手づくり豆腐キット」なるものを早稲田夏目坂の自然食品店で見つけて、豆腐好き復活。薄給のなかから大豆も氷も砕けるという(そんな機能いまじゃあたりまえ?)ミキサーを購入、生まれて初めて見る“海水から取ったにがり”なるもので温めた豆乳にそっと入れ、ふわふわと豆腐が分離してくる様子に感動したもの。自前の豆腐を作った、あの時代から比べたら豆腐も本来の姿が甦ってきてずいぶんとよくなったなあと感慨深し。
しかしこの間、化学物質大国米国で遺伝子組み換え植物を開発。世界中のマーケットを席巻してきている。その筆頭が、大好きな大豆というのが悩ましい。

本日のお茶

ドクダミ(新潟・松之山産)とヨモギ(ご近所)…夏のあいだずっと、来客にもこれでした。    

                                                                 料理人:よこやま


 2010年9月14日

  ●昼めし献立 

  • 春雨と千切りキャベツの卵とじ  →→
  • 挽き割りグリンピースとジャガイモのサラダ      
  • 叩きキュウリとヒジキと春雨の塩ポン酢漬
  • ノラの食パン&カンパーニュ
  • 玉葱とキャベツの芯のスープ

 本日のオイシイ!

嵐の一日が夏を連れていってくれたのか、

ちょっぴり空が高くなったような。あったかくて、やさしい味わいに癒されますねぇ。

ひと月分の雨が降ったという大荒れの一日が、スイッチを切り替えたのか、朝方、ひんやりした空気が足元からのぼってくる気配に夏掛け布団を無意識に引き寄せていました。
冷たい食べ物、飲み物についつい手が伸びてしまったり、入浴もシャワーだけで済ませたりしがちだった長い長い夏。知らず知らず冷えをからだにためこんでいるだろうな。汗だくだった腰湯で読書も、じっくり浸かって、季節の変わり目に体調崩さないようにしなくては。
食卓にも温かい食べ物のメニューを増やしていこうと、さっぱりと口当たりも軽い春雨の煮物です。熱湯で戻し、すすいで水切りした春雨を、たっぷりの千切りキャベツと薄味のだし汁で煮て卵とじに。だしをたっぷり吸った春雨とキャベツの嵩も減っていくらでも入りそう。お腹ににしっとりとしみてくる味わいです。

たくさん茹でてあった挽き割りグリンピースをそろそろ使い切らなくてはと、茹でたジャガイモ、スライスした玉葱、オリーブと合わせ、塩胡椒とオリーブ油少々でシンプルなサラダに。ポテトサラダにはマヨネーズでしょ、って決めている人も多いけれど、ジャガイモそのものにコクがあるし、豆とオリーブ(5~6粒ね)が加わったら、油類もキモチ程度で充分オイシイ。未体験の方、いちどお試しくださいませ。

からだをしゃっきりさせてくれる酢の物を一品。キュウリは塩をまぶして板ずりし、すりこぎで叩いて乱切りに。塩ポン酢にだし汁を足し、塩と酢で調整したところにキュウリを漬ける。薬味に粗めにみじん切りした長葱と炒り胡麻を加えて。

じつはこれ、近所の居酒屋おおさわのメニューをそっくりいただいちゃったのです。こんな感じかなと記憶でつくってみたけれど、親方(といっても若いです)のレベルには遠いわね。板前修業をされた方で、きれいな包丁使いでおいしい和食をつくってくれます。昼の定食も人気のお店。

輪切りにした玉葱を千切りにするときに除いたキャベツの芯のところを薄切りにしてだし汁に塩を加えて煮ます。玉葱とキャベツからでた甘みとだしがとけこんで、こちらもからだにうれしいスープに。春ごろからバイトで入っている中村さん(染色‥ろうけつ染めが本職。住まいの近くのカルチャースクールで10月には教室を開くとのこと)が、事務所で食べたすりおろし玉葱のドレッシングのサラダがおいしかったので、家の近くのスーパーで玉葱を買ってドレッシングをつくろうとすりおろし始めたら辛みがすごくて目も鼻もひどいことになって挫折したそうな。産直のものとそんなに違うのかしら!と、こちらのほうがびっくり。新玉葱じゃなくても、スライスしただけで水さらしもせずにサラダなどに入れていたからねえ。                              

本日のお茶

ドクダミ(新潟・松之山産)とヨモギ(ご近所)…夏のあいだずっと、来客にもこれでした。    

本日のおやつ  

                                                                 料理人:よこやま


 2010年9月13日

  ●昼めし献立

  • グリーンピースとかぼちゃのオムレツ
  • 茹で落花生入りサラダ      →→
  • グリーンピースの炊き込みご飯
  • 葱と油揚げのお吸い物

 本日のオイシイ!

お盆を過ぎたあたりから届き始めた落花生。殻ごと塩ゆでしたのはビールにぴったり。落花生って、花が咲いたら、土の中に潜って育つのねぇ。

朝夕はやっと涼しくなってきてうちの猫も布団の上で寝るようになりました。(暑いと床か机の上。温度計代わりです)
事務所の窓から電柱が見えるのですが、夏になるとそこに蔦がからまりまくり、もじゃもじゃになります。一見、木のように見え、ちょっと風情(?)があります。そして最近かすかに紅葉してきたような気がします。秋は目の前ですがそれでも昼間はまだまだ暑いです。美味しいものをもりもり食べて残暑を乗り切りたいです。
              
今日は豆づくしの日です。まずは乾燥グリーンピースを水で戻しておいたものと茹でたかぼちゃのオムレツです。味付けは塩と醤油少々。焼きあがった上にオリーブオイルで炒めたニンニクとカイエンペッパーをちらします。かぼちゃの黄色がきれいで、オムレツにぴりっとしたカイエンペッパーもなかなかいけます。
 
サラダには珍しい茹で落花生を。殻付きの生の状態で、水から茹でます。茹でただけで甘くておいしい!さいころ状に切ったキュウリとトマトと一緒に乳清ドレッシングとマヨネーズ少々、塩であえます。茹で落花生、とても濃厚な味です。初めて食べましたがはまりそう! 今回使用したものは大きめに育ったものでしたが、もう少し早いうちに取った落花生は豆というより野菜に近い味がするそうです。そっちも食べてみたいです。

ご飯はこれも戻した乾燥グリーンピースと塩少々で炊いた豆ご飯。ほんのりとしたグリーンピースの味です。この乾燥グリーンピース、色々使えて便利です。
 
だし汁に醤油、塩で味付けし、刻んだねぎと、フライパンでから煎りした油揚げを入れてお吸い物にしました。
                                

本日のお茶

ドクダミ(新潟・松之山産)とヨモギ(ご近所)    

本日のおやつ かき氷…ミルクと、レモン水。近所の餅菓子屋に走って。最近はテイクアウトができるようになりました。お祭りのときに出ているのと同じ発泡スチロールの容器に入れてくれます。
この夏最初で最後のかき氷になりそう。

                                                                 料理人:マリヲ


 2010年9月9日

  ●昼めし献立 

  • モロヘイヤとオクラのネバネバとじ
  • ジャガイモ、茄子、グリンピースのサラダ
  • 白いごはん
  • キュウリとザーサイの塩スープ

 本日のオイシイ!

"歴史的"猛暑!(つぶやくだけで暑苦しい…)の夏。

ネバトロ野菜にはお世話になりました。


蝉の合唱がいつの間にか聞こえなくなって、かわって登場したのはスズ虫。夜、家への帰り道、植え込みの奥から一斉に鈴虫が鳴き交わしていたのは、4~5日前のこと。まだまだ昼間は35度という暑い日が続いているのに、と、太陽の傾き、土の中の温度のわずかな変化に反応する虫たちの感度の良さに感心。
いつも通る墓地も、けさはだいぶ静かになって、暑さを跳ね返すように咲き誇っていたサルスベリの花も鮮やかな紅色をくすませ、蝉の季節もさすがに終わりなのだと感傷的になっていたら、ツクツク法師の鳴き声が空気をふるわせ伝わってきました。
きょうもまた残暑の一日です。

先週金曜日のメニューから。
歴史に残りそうな猛暑の夏を乗り切るのに大いにお世話になった粘々コンビ、モロヘイヤ&オクラ。そろそろご奉公も最終ラウンドといったところ。どちらも暑さには強い南国系の野菜。自らの生命維持にもきっとこのネバネバは必要なのでは。ともあれ、夏バテ、熱中症を免れたのは生命力あふれる夏野菜たちのおかげもあってのこと。たっぷりと刻んで、だし汁でさっと煮ただけで、箸にからみそうな粘り強さなのを、さらに卵で閉じました。器のうえで丸まっています。

サラダはジャガイモと蒸し茄子と挽き割りのグリンピースを煮て合わせます。挽き割りになっていると早く火が通るので。ふやかさなくても、20分ほどで使えます。インド料理に欠かせないチャナ豆(ヒヨコ豆)やダル豆なども挽き割りのものがよく使われるようですね。
ドレッシングは、先日一度使った、ホエーをベースにしたもの。

塩と辛みだけで漬けたザーサイを見つけたので、キュウリと合わせて汁に。胡麻油でスライスしたザーサイを炒め、だし汁で、キュウリととともに塩味で煮ます。
コトコト煮れば、ザーサイから出た酸味もほんのりとおいしい中華風スープに。

★★昼飯コラム


  石にこすってネバネバ遊びしてたあれが”ムカゴ”だったんだ
あれがムカゴというものだとは知らなかった。

旧市街の外れ、電柱2本くらいの間、距離にして150メートルくらいが小学時代の遊びのテリトリー。2本目の電柱の”向こう側”は畑や田んぼと、緑濃い小さな林に囲まれた農家の集落が広がって、その電柱が街とむらのゆるやかな境界だった気がする。
もっともそれは表の世界。家々の境には垣根や板塀がたてられてはいたものの、今のようにコンクリートブロックで外から見えないような高さに囲い込むということはなく、からだに蜘蛛の巣をひっかけたり、あちらこちらにすり傷などつくりながら薮を縫い、塀の破れ目をくぐって、おとなの知らないケモノ道を縦横に、秘密基地から基地へと走り回っていた。
わが家は3軒の棟割長屋の端。裏に井戸と、井戸で使う水のせいでぬかるみがちなわずかな庭があったりするくらいだったけれど、反対側の隣家は、“むこう側”の農家の分家で、自給程度ながら畑をもっていた。どんな野菜をつくっていたのか、ひとつも覚えていないものの、秋が深まるころ、破れ塀の内側あたりにビー玉くらいの大きさの黒っぽい塊がばらばらと散らばっているのを、石にずりずりとこすりつけてはネバネバするのがおもしろく、たったそれだけのことなのに、毎年の遊びのメニューにはいっていて、飽きれば次の遊びへと移動。そんなささやかなこともふくめて遊びの種には困らなかった。
スーパーの店頭で「それ」を目にしたのは、東京へ出てきてから、それも90年代にはいっていたような。へぇ~”ムカゴ” …! もしかして…? と俄に興味が湧いて買って食べたのが初体験。少量の油で転がしながら熱して、塩を振る、あるいはご飯に入れて炊いたり。野趣あふれる味わいがぎゅっと詰まった小さな粒にオオーと感動。せっせと石の上ですりおろしただけの子ども時代がなんだかもったいない気がしたものです。
そうそう、近所にあった某国立大学の武道館前の生け垣にもムカゴの蔓が這っているのを発見し、早朝によくムカゴを採取しては、深まりゆく秋の味覚を楽しんだことも。いまはきれいに生け垣も刈り込まれて、風情がなくなっちまいました。

本日のお茶

ドクダミ(新潟・松之山産)とヨモギ(ご近所)    

                                                                 料理人:よこやま


 2010年9月6日

  ●昼めし献立 

  • 冷や汁かけライス
  • ゴーヤと車麩のチャンプルー
  • イタリアントマトのサラダ(バルサミコ酢+醤油+オリーブ油のドレッシング)

 本日のオイシイ!

すべりこみセーフでやっと作れた!夏野菜ぎっしりの”冷や汁”。冷たくしたご飯にかけていただきます。


茄子、キュウリ、オクラ、生姜、ミヨウガ、青紫蘇と、夏野菜を細かく刻んで冷たくしただし汁にたっぷり入れた冷や汁。さかのぼること20数年前、山形の内陸部出身のスタッフから教わって(つもりだった…?)、清涼感あふれるおいしさと暑さにダレたからだをしゃっきりさせてくれる威力にすっかりこころ奪われてしまいました。
以来、毎年夏になると、ひたすら包丁をリズミカルに動かす心地よさも加わって、だいたいは作りすぎてしまう冷や汁を事務所スタッフに強引に振舞ってきたのでした。
ところが最近、山形県や関連のホームページなど覗いていたら、夏のものとばかり思っていた冷や汁が、どっちかっていえば、乾物の野菜などを戻して具沢山の汁にしたものがベースになっているらしく、私がつくってきたものはどうやら宮崎のほうの冷や汁に近いよう。ま、おいしいんだから、どっちだっていいわ。
というわけで、ありあわせの野菜ではありますが、キュウリ、茄子、オクラと、あとは豆腐で間に合わせましょう。汁の方には梅干しの果肉を叩いてほんのり酸味をつけ、あと塩、醤油で味をととのえたら粗熱をとり、摺り胡麻を混ぜ合わせて冷蔵庫へ。
炊きあがったごはんは潔く、ざざっと水で洗い、最後に冷蔵庫の水をくぐらせて器によそい、ほどほどに冷えた冷や汁をかけます。
これで薬味の茗荷や青紫蘇が加わったら最高ね。いくらでも食べられそうなのがコワイです。

イタリアから来た調理用&生食兼用のトマト。皮がしっかりしていて包丁でも皮が剥けます。が、もったいないので皮ごと乱切りに。でも皮も味のうちというか、皮もおいしいトマトです。バルサミコ酢と醤油をまぜたなかにトマトを少し(15~20分だったかと)漬け込んで、すりおろした玉葱をのせ、オリーブ油をまわしかけたシンプルなサラダ。バルサミコ酢の酸味も醤油と喧嘩せずにまろやかになるのが不思議。

沖縄では、ふわふわと軽~い独特の感触の麩があって、卵とじにしたのをいただいたことがります。車麩で育った私にはエキゾチックな新感覚の味でした。食べなれたガッシリタイプの車麩にだし汁をたっぷり含ませて、ゴーヤととともに炒めてこげないうちに手早く卵でまとめました。

★★昼飯コラム★★


 この夏、シオカラトンボを見ましたか?


「安定した太平洋高気圧のおかげ(?)できょうも最高気温35度」と手もち無沙汰ぎみに伝えるラジオのお天気キャスターに筋違いの文句を言うわけにもゆかず、25分の自転車通勤をさぼって久しぶりにバスでご出勤。始発だから座れるし、わずか15分ほどだけれど、短いエッセー1~2編は読めるしで、楽チンなことこのうえなし。
発車してまもなく、反対側の席のほうからビ、ビ、ビ~と気ぜわしい音がして、目をやるとトンボがガラス窓のあちらこちらとやみくもにぶつかって立てている音でした。
窓はびっしり閉まっていて、開くかなあと思いながら上の方を見ると、横長の細い窓が。六十肩に響かないよう、すべり具合のひどく固い窓を20センチほどようやく開けたけれど、こっちに来てくれるかなあ。
目の前でジタバタしているトンボにまったく目もくれず携帯に夢中なのは二十歳そこそことみられる若い女性。あ、反対側に座った女性も頭の上の窓をこじ開けてくれている。こちらは30代後半といったところか。
トンボは大きさから、シオカラトンボかな。子どものころはさんざん追っかけていたものです。…
どうやら少しばかり開いた窓からトンボは思ったより早く脱出できたようでした。
昆虫たちが束の間のいのちを燃焼する夏。ため息もらすほどかすかながら、早朝の空気や、からだを包む夕暮れ時のほてった風のなかにも涼やかさが流れ込んできて、季節の変化は少しずつ確かな感触になりつつあります。
あぁ、涼しくなったらなったで、夏バテに襲われるんだろうなと、もう片方では早手回しの現実を引き寄せてしまいました。

本日のお茶

ドクダミ(新潟・松之山産)とヨモギ(ご近所)    

 

                                                                 料理人:よこやま