昼めし日記

2005年5月27日
昼めしの献立 

  • 豆と野菜いろいろトマト煮
  • サラダ(大葉、ブロッコリー、サニーレタス、胡瓜、河内晩柑)
  • ごはん(大根皮千切りと鰹節をまぜて)
  • 味噌汁(小松菜、卵、じゃがいも)  

「野の扉」からみずみずしい青紫蘇の葉が! 「いい香りですよ~」と他のスタッフの鼻先につきだしてまわるほど。幼い頃、家の庭には青じそがひと群あって、夕食できあがり間際、台所の母に「4枚か5枚、摘んできて!」などとよく言われた。庭に出るとうす暗くて、空をみあげて、夏が近いな、と感じながらしゃがんで青じそに手をのばす。そのときの土の匂い、虫の気配、空気の重さが一瞬よみがえるよう。香りにひきずられて緑いっぱいのサラダを思い描く。よし、と、料理をはじめます。

 オリーブ油に鷹の爪とクミンをゆっくり炒めて、大きめのサイコロ状に切った大根、ズッキーニ、刻んだキャベツを入れる。塩を振りすこしの水で蒸し煮にしながら火が通ったらトマト缶のホールトマトを崩して投入。冷蔵庫の中のひよこ豆、花豆、白いんげん豆に、クローブや黒胡椒、カレーパウダー、レッドチリペッパーなどで味つけ。トマト缶は3分の1くらいしか使わなかったけれど、風味もついてつきすぎず、ちょうどいい感じ。
 その炒めて煮込んだズッキーニのおいしかったことといったら…。農薬も化学肥料も使わず大切に育てられた、おいしいズッキーニをこうして食べられるなんて、なんて幸せ。農家の方から直接送ってもらわない限り、この巨大消費都市東京でも、一般流通ではなかなか手に入らないのじゃないのかな。

 サラダは、かごしま有機生産組合から送ってもらった河内晩柑の傷みかけのものを絞ってドレッシングに。オリーブ油と塩と胡椒で甘酸っぱいさわやかなサラダ。果肉もすこし入れたので、グリーンの中に黄色があざやかに咲いたようになりました。

 河内晩柑は、熊本県河内町(かわちまち)というところで自然発生した雑種。果汁たっぷり、とてもジューシー。グレープフルーツのようなさわやかな甘味、グレープフルーツよりやさしい酸味。自然雑種のためか落果しやすく、一般的には落果防止にホルモン剤などを多用するそうですが、堤田さん(かごしま有機生産組合のメンバーで、河内晩柑のつくり手)は、極力避けて1,2回程度に抑えてあるそう。昨夏に訪れた、蜘蛛の巣やかたつむりなど生き物いっぱいの堤田さんの果樹園と、果樹園の丘からみえる不知火海のきらめきを思い出しつつのお昼ごはんでした。

本日のお茶 スギナ+ヨモギ

料理人:でこ


2005年5月24日
昼めしの献立 

  • 春菊と人参、小玉ねぎのサラダ 紅茶卵添え 
  • キュウリと豆の和風カレー煮
  • 梅干しご飯 
  • 味噌汁(大根、ニラ、かんずり)

 22日、立川市で開かれた出産・子育てイベント「多摩らんなぁ」に行ってきました。『自然なお産献立ブック』の著者岡本正子さんの料理講習「これでいい! 目からウロコの乾物料理」のメニューは、五穀ご飯、とろろこぶと小町麩のお吸い物、五目切り干し煮、だしがらで作るおかかふりかけ、ひじきのしっとりふりかけ。これだけ作ってゴミはほんのちょっぴり。乾物はほんと、便利です。
 多摩らんなぁは、都心のイベントには小さい子どもを抱えていてはなかなか出かけていけない、それならば自分たちで企画しようと多摩地区の助産士さんや子育て中の女性たちが手弁当でつくってきた催しです。講演をなさった大野明子さんの著書『子どもを選ばないことを選ぶ』(メディカ出版)を会場で購入。産婦人科医として避けられない出生前診断についてのすがすがしい立場表明に、身辺のさまざまな雑事が洗い流されていくような気持ちになりました。強くおすすめします。
 今日は、八田尚子さん(『南九州から有機生活』で取材執筆)のお土産の「日の出の梅干」(お住まいが日の出町です)で、梅干ご飯。お米から梅干を一緒に入れて炊き上がったら混ぜ込むだけのシンプルレシピですが、「おいしかったなぁ」の気持ちを夕暮れ時まで反芻してしまう御馳走でした。
 人参の千切りをオリーブオイルで炒めた中に塩、マスタードシード、甘夏ミカンの絞り汁を入れ、茹でた春菊と小玉ねぎのスライスと和えて、サラダに。紅茶卵はゆで卵をクローブで香付けした紅茶の中に漬け込んであったものです。当初炒める予定にしていたキュウリは、煮立てたかつおだしを塩、醤油で味付けした中に玉ねぎと一緒に入れて少し煮込み、昨日の残りの豆とキャベツのカレー煮を加え、カルダモンやクローブ、クミンなどスパイスとかつおぶしのだしがらも投入して水気を飛ばすようにして煮ます。キュウリの歯ざわりが残るくらいのところで火を止めます。カレー風味で和風味。味噌汁には新潟のかんずりをひとさじ。のどを通り過ぎるときにヒリヒリするほど辛くなるんですよ。

本日のお茶 スギナ+ヨモギ
本日のおやつ クローブコーヒー

料理人:しろ


2005年5月19日
昼めしの献立 

  • スピカ麦の穂のライトブレッド 
  • ひよこ豆のディップ 
  • 白菜と小松菜の甘酢あんかけ 
  • 豆のサラダ 
  • 白菜スープ
     

 近所の猫たちがなにやら気ぜわしい。特にオスたちはパートナーを探して屋並の間の細い路地から路地へと、うろうろ。派手に雄叫びあげていたり、いつもの縄張りから突っ走って気がつけば、見たこともない所まで来てしまった、という、見慣れない顔の奴もいる。つい先だっても、妙な格好の猫が向うから歩いてくる。これが大きなメガフォンみたいなかたちのものに顔がすぽんとはまっていて、くたびれた毛並みには歴戦の跡がしのばれる。怪我の手当てをしたあとのガードらしいが、面目なさそうな風情に、おもわず笑ってしまった。
 ワガママお嬢のわが家の猫は、前の飼い主が避妊をしたようで、オスのお誘いにはけんもほろろだけれど、食べものの好き嫌いがこの時期には目立って、あれもイヤこれもイヤと、メンドクサクッてたまりません。

ところでニンゲンのほうの食卓はといえば…春たけなわではあるけれど、新玉ネギや、夏の野菜のキュウリも入り始めたなかに、白菜などもあって、料理の幅が広がりますねえ。
というわけで、本日は白菜が活躍することに。パンはスピカ麦の穂のライトブレッド。ラグビーボールを長あーく40センチくらいに伸ばしたような形のを、3分の1にカットしてもらったもの。いくらか軽めの食感に麦の香りがふわりと口の中で広がる、最近お目見えの新商品です。

白菜スープは、スライスした玉ねぎをたっぷり、これを軽く油でいため、水と昆布1枚、大ぶりにざくざくっと切った白菜も入れる。味は塩コショウのみで。このあと牛乳を入れようかと思いつつ、味見をしたら、もう十分旨いので、これでよしと。
昆布といえば、鰹節とともに日本料理のだしの定番。ところが醤油との相性がいい鰹節に対し、昆布のうま味は塩と合うので、和食以外にも応用が広いのだと聞いた。そういえば、少し前、NHKテレビでフランス料理の伝統のなかに、日本の昆布のだしをを取り入れているという、本場三ツ星シェフが登場していたっけ。テーマも「世界を駆ける日本料理」というのでした。
 この頃、市販の「昆布茶」をうま味アップに使うといいと、重宝がられているようだけれど、あれには化学調味料のアミノ酸がたっぷり入っていることに気がついているのかなあ。

白菜でもう1品。5~6センチ幅に切った白菜を、縦に刻む。こうすると歯ごたえよく仕上がる。小松菜も同じ長さに。ごま油を熱し、鷹の爪を1本軽くいためたら、強火で白菜を炒め、仕上げ近くに小松菜も加え、たれ(酒、醤油、酢、砂糖)をたっぷりめにまわしてざっと炒め、水溶き片栗粉でとろみをつける。

豆は、ひよこ豆と金時、白インゲンの3種をゆでて。サラダには、これと、新玉ねぎ(野の扉から届いたのは小玉ネギ)のスライス、ブロッコリーで。味付けはいつものオリーブ油と塩でシンプルに。
ひよこ豆の薄皮をとり、すり鉢で軽くつぶし、マヨネーズと酢少々、塩も少し加えてパンにのせるディップに。

本日のお茶 スギナ+ヨモギ
本日のおやつ 青山ブラウンライスのレアTofuタルト

素朴な豆腐をリッチで繊細な舌ざわりへと変身させたフィリングの仕上がりに、これまでのナチュラスゥィーツに対するイメージが心地よく覆される。自家製というレモンリキュールも爽やか。

料理人:ぎん


2005年5月13日
昼めしの献立 

  • ジャガイモと蕪の味噌あえ・柚子コショウ風味
  • 人参とキャベツのスパイス煮
  • チシャと胡瓜のサラダ
  • 中華風スープ(大根、チシャ、蕪の葉、卵)
  • Spicaのくるみパン
  • 麦々堂のオニオンクーペ 

 麦々堂からうれしいパン到着。あいかわらず麦さんの手でまとめあげられたパンはうつくしい。
 そしてもうひとつ、編集長がSpicaさんから持ち帰った、ほんのりしぶいオレンジのような茶色のような、うす紅のような、くるみパン。そうだ、これは胡桃の色なんだ。白い粉にはたかれて、こちらもまたお化粧した娘さんのよう。小柄で、しっかりしててなお楚々とした感じの。

 きょうは朝から曇り空だ。雨が降るのかな、と思いながら、また12時過ぎて台所に立つ。コンロのすぐ脇にちいさな窓があって、時々風がゆれるのが気持ちいい。空気はつめたい。あまり体を冷やしたくないし、あたたかい料理を中心に…と思案しつつ、でもやっぱり今週からキュウリが来たから(「野の扉」から届くお野菜はもう、一部、夏の顔!)サラダもつくってしまおう。
 小さなジャガイモ4つ、蕪を3つ、同じくらいの大きさに切ってコトコト煮はじめる。切り昆布も入れてじっくり。そこから出し汁をもらうつもりで、中華スープの準備。材料を胡麻油でざっと炒めて水とさっきのジャガイモの煮汁を入れ、塩・レッドペッパーなど加える。やわらかくなったら溶き卵を入れて、酒、醤油で味つけ。きのうのお昼の残り、「小松菜のキムチ炒め」もこの中へ(ちょっぴりなので辛さはひかえめ)。チシャはレタスの仲間。レタススープは安眠効果がある、と以前野菜料理の本で読んだ。胃腸にもやさしく、リラックスするのだそうだ。眠くなったら困るけど、こんな肌寒い曇りの日はつくりたくなるみたい。
 スープを作り終わるころにはジャガイモたちも充分茹であがっていた。味噌と柚子コショウをまぜて、酒と醤油をほんのすこし、で、できあがり。手でちぎったサラダ菜を添えて。柚子コショウは小さじ半分くらいだったけど、けっこうぴりっと効いてます。
 人参とキャベツはいつものように塩、クローブなどを入れて蒸し煮にしつつやわらかくなったらカレーパウダー、オールスパイスなどをひとふり、ふたふり。黒コショウをしっかりめに。
 キュウリは軽く塩でもんでとんとんとんと厚めに切って、新たまねぎ、チシャ、胡桃、チーズとオリーブ油のサラダ。みんなでぺろりとたいらげました。

本日のお茶 スギナ+ウルイ
本日のおやつ Spicaのあんパンとマフィン

料理人:でこ


2005年5月12日
昼めしの献立 

  • 水菜と焼きネギの酢醤油和え 
  • チーズ、トマト入りスクランブルエッグ 
  • 古漬け沢庵煮 
  • 小松菜のキムチ炒め 
  • 煮物再生味噌汁(大根、人参、くるみ、長ネギなど)
  • ご飯(七分搗き)

本郷の鰹節屋さんにいつもの削り節を買いに行く。「なんだか涼しいですよね。おでん用の昆布くださいって、お客さんが見えたんですよ」確かに、自転車に乗ると、二の腕のあたりがすーすーする。
先週末につくった大根と人参のくるみ入り煮物は味噌汁に再生。ネギの青いところは、こちらに入れて、白いほうをぶつ切りにして網で焼く。酢醤油で水菜と和えて、たっぷりすり胡麻をかけた。ネギの焼き目のほろ苦さと香ばしさが、たん白な水菜によう合う気がする。
スクランブルエッグのアクセントは本日も、クミン。チーズケーキにだって、クミンを使ってみたらいいのでは。そう言えば、先日偶然通りかかった都営地下鉄若松河田町駅出口すぐのケーキ屋さんで買った抹茶と胡麻のパウンドケーキには松の実がたっぷり使われていて、おいしかったなあ。古いものを上手に生かした内装も印象的なお店でした。

本日のお茶 スギナ
本日のおやつ 青山ブラウンライスの全粒粉サンドパイ

料理人:しろ


2005年5月10日
昼めしの献立 

  • ずいきと大根の醤油煮
  • キャベツホワイトソース煮
  • サラダ(いり卵、トマト、新たまねぎ、水菜)
  • 梅干・大根葉ごはん
  • 長葱と大根の味噌汁 

 編集長が昨日つくったホワイトソースのスープはおいしかった。大根やカレーリーフ、うどんも少し、ほのかに入った切り昆布が不思議にマッチして。「ホワイトソースと昆布って合うんですか」とたずねてしまったほど。
「合うっていうか…自然になじむよね」「ほんのすこし深みが出るっていうか」 正面から問われ半ばとまどいながら、うなずきあっている年上の女性スタッフたちのふつうの表情が何か頼もしい。つい、すぐ聞いて解決してしまう自分もふがいない。もっと自分で試してみろ、だな、と自分自身につっこみつつ、あらためて人生の先輩たちから学ぶことが多いと思う。

 料理本には載らない、日常からうまれる数え切れないほどの素材の組み合わせ、隠し味、時季にあった調理。あたりまえの顔をして毎日食事をつくる人が身近にいること、その料理を食べられることが、ほんとうに勉強になるんだなあ。

 さて、その昨日のスープは茶碗一杯分くらい手鍋に残っていて、これをどうしようかと考えることからはじめた。キャベツは塩をふって蒸し煮にすればほとんど水を足す必要はないし、ホワイトソースとも合いそう。キャベツ半分を6等分くらいにざっくり切って、厚めの輪切りにした人参と蒸し煮に。マスタードシードと黒胡椒でしっかり風味をつけ、昨日のソースとひと味ちがう味わいに。

ずいきをお湯でもどし(30分以上もどしたかな?)、時間をかけて切り昆布とやわらかく煮込んだ大根に合わせる。昆布だしと酒と、何よりおいしい醤油があれば充分旨味あり。
 トマトは5/9(月)にオープンしたガイア代々木上原店で購入。かごしま有機生産組合のものでした。熟しきって包丁を入れるともったりした感触。新たまねぎは今がいちばんおいしい季節じゃないかしら。水にさらさなくても、水分がぎゅっとつまった甘み、心地よい辛みにうっとり。水菜もさっぱりした苦みがそのままでうまい。オリーブ油とバターで炒った卵を加え彩りよいサラダに。

本日のお茶 スギナ
本日のおやつ さといらず(新潟津南のいり豆)

料理人:でこ