昼めし日記


2008年 10月16日
昼めしの献立 

  • 新生姜の炊き込みごはん 
  • サツマイモ、茄子、人参、インゲンの汁
  • 秋茄子、サツマイモ、玉ネギの豆鼓炒め
  • コールラビとピーマン、レタスのサラダ
調理するのも食べるのも初めて!「コールラビ」

ボックスから顔を出したのは、当事務所初お目見えの野菜「コールラビ」(と野の扉からのご案内が)。この姿、何だか空を飛んでいる人工衛星みたいじゃありません?(いつの時代の人工衛星?って言われそう)
都内の高級スーパーでは何度か見たことがあるものの、買ったこともなければ、料理するのも初めて。だいいち食べ方がわからない! 書棚の『食材事典』を慌てて広げたら、「キャベツの仲間。料理法もキャベツに準ず」と書いてありました。

  紫色のもあります、「コールラビ」。

スタッフの白銀嬢曰く「ブロッコリーの茎に似てますね」。あらぁ、なるほど。
皮を剥いたほうがいいのかどうかわからず、一個は剥いてみました。あと一個はそのまま付け根の硬
いところだけ少し切り落として。ブロッコリーは茎のほうが大好きなワタクシ、剥いた皮が惜しくて
意地きたなくこれだけ囓ったら、筋っぽくていまいちでありました。
ころころと大きめのさいの目に切ってさっと蒸し、冷ましてから、赤・緑2種のピーマンと軽くオリ
ーブ油で和え、ざくざく刻んだレタスを敷いた上に盛り、塩と酢を振りかけて。
蒸したら皮の硬さも別に気にならず、ほんと! ブロッコリーの茎とそっくりのコリコリした歯ごた
えと爽やかな香りがおいしゅうございました。剥いた皮がもったいなかった!

事務所の味噌が切れ、醤油も切れてしまって(ストックが1本あると思い違いしていた)、さてどうす
るかとしばし思案。そうそう、中国の豆味噌、豆鼓(トーチ)があったわ。というわけで、秋茄子、鶏
肉、玉ネギの豆鼓炒めです。焦げ茶色に染まった炒め物にピーマンの緑が映えました。

新生姜の香りの瑞々しさって何とも言えませんねえ。たっぷり千切りにしたのを、新米に入れて炊きます。塩もほんの少し。炊きあがったところに、粗くすった金胡麻をまぜあわせました。
生姜好きにとっては他におかずもいらないくらいなんですけどね。

里芋、サツマイモの汁はだしをたっぷりとって、塩味で調味。味噌汁にもサツマイモを使いますが、どことなく懐かしい味になりますね。最近、塩甘い味のお菓子がブームになっていますが、フランスでちょっとした流行らしい。日本では昔から小豆餡を煮るときに隠し味に塩を使っていたし、サツマイモも塩を振って食べたりしていたから、これはもう日本のお家芸でしょ。逆輸入でしょうか? インゲンが脇役っぽい使い方になったけど、インゲン大好きです。夏には精進揚げばかりしていたときもありました。

本日のお茶

薬草茶(トウモロコシのひげ、ドクダミ) 

エクアドル産オーガニックコーヒー

本日のおやつ

ご近所の和菓子屋さんの新作菓子(コーヒーにもいけました)

                                   料理人:よこやま


2009年 10月8日

昼めしの献立 

    • 大根、人参、ゴボウ、鶏もも肉のうま煮
    • 秋茄子と、小松菜の温サラダ(ニンニク風味)
    • 新生姜と枝豆のご飯
    • 吸い物(水菜と椎茸、卵)
猫の好物、エノコロ草も枯れて秋の気配

卵を少ししか産まなくなった鶏を肉にしますよとお知らせがあってから数日のち、胸、腿、ササミ、手羽と、1羽まるごと解体された鶏さんが、ガラのなかにきれいに収まり、野菜とともに届く。臭みもなく、日持ちしてくれる野の扉の鶏肉はずぼらな料理人にとってはありがたい。
手羽や皮の部分を少し放り込んだだけで濃厚なだしがとれるし、ガラは長ネギの先っぽや玉ネギの皮を放り込みコトコトとだしをとっておく。このだしで大豆やインゲン豆なんか煮こんだら、豆の旨味と渾然一体のおいしさに。ついつい箸がすすみます。
ふだんは食品スーパーに寄っても、肉の売り場はいつも素通り。私の子ども時代は、最近流行りの“地産地消”はあたりまえ、 新鮮、安い、おいしい野菜と魚で育った世代なので、時々、飼い猫と魚を分け合う暮らしで、肉料理のおいしさもわかるけど、肉に執着なく、肉料理があまり身につかなかったなあ。

昭和30年代半ば、両親とも共稼ぎしてもわが家の毎月の暮らしはやりくりがたいへんだったようで、母が買い物に行くのにくっついて行っていたから、月末に通い帳にたまった金額が全額払えなくて、繰り越してもらっていた。
そのうち親類の農家が当時はまだ珍しかった孵卵器でかえしていた雛鳥を30羽ほど譲ってもらい、借家の裏庭に金網で鶏小屋を建てて飼い始めた。鶏が待望の卵を産むようになると、いつも行く八百屋さんが時々買いに来たりしていた。少しはわが家の経済も潤ったのだったろうか。子どもだった私はそうしたことにはまったく頓着なく、ほとんど毎日遊び呆けていたけれど、当時、八百屋では卵1個25円くらいで売られていたと記憶している。
 たまに、その親類の農家に鶏を絞めてもらっていた。お腹のなかに入っていた卵の黄身みたいなのが(卵になる手前なのね)ずらずつながっているのを何度か目にして、鶏ってすごいなあと、いのちの神秘に息をのむ思いだった。それでも当時のわが家の食卓がご飯と味噌汁、おかずは野菜ときどき魚だったのは間違いない。
 一人暮らしをするようになってから、これまでに鶏、豚、牛、ラムなどひと通りの肉料理はたまに自分でも作り、外食もしたけれど、水っぽかったり、臭いが気になったりで、売り場からはすっかり足が遠のいてしまった。

夏から秋へ、野菜も移り変わります

野菜ボックスを開けたら、早くも白菜が! と思ったら「秋一番のミニ白菜です」と添え書きが。見れば、葉先のほうの緑部分の色も濃く、巻き込みもふわっとしています。ザクザクと刻んでゴマ油をたらした酢醤油でからめたら歯触りよく旨そう、など思いつつ、足の速い青菜が先だわね…と。
この夏、はまったおろしニンニクとゴマ油のサラダにすることに。味つけは塩だけで。手がかからずおいしですもんね。
しっかり身がしまった秋茄子と、やはりクセのないサラダ向きの品種らしい小松菜を蒸して。

根菜も来始めました。久しぶりの大根、人参。色つやよく、なまめかしい風情です。産卵率の落ちた鶏さんも一羽丸ごと参りましので、まずはモモ肉から。皮からでる濃厚なだしで他にはだし要らず。ゴマ油で軽く炒め、根菜を入れてひと回ししたら、酒と水をたぷたぷにして、砂糖少々(小さじ1くらいにしました)、煮立ったら醤油で味つけ、やや強めの火で汁気が少し残る程度まで煮ます。

新生姜は千切りに。たっぷりご飯に炊き込みます。塩をほんの少し入れて。枝豆は郷里の新潟から送れらてきたもの。枝豆王国新潟でももうおしまいとのこと。でも夏中、毎日飽きもせず大ザルに盛って食べ続けるんだから、もういいでしょ。県外から来た人はみ~んな、恐れ入るようですよ。

根菜のうま煮が濃いめの味つけなので、汁はあっさりと吸い物仕立てに。具は水菜と干し椎茸を戻してあったもの。溶き卵でかき玉汁にしました。

本日のお茶

薬草茶(ドクダミ、クマザサ、ヨモギ他。岡山の友人から)

本日のおやつ

中村屋の薄皮饅頭(お客様のおもたせ。餡が上品な味わいでした)        

                                   料理人:よこやま


2008年 10月7日
昼めしの献立 

  • 秋野菜の温サラダ
  • 卯の花和え
  • 新生姜の醤油漬けとごはん
  • サツマイモと茄子と油揚の汁

本枯れ鰹節も「絶滅危惧種」に?

いつも削り立ての鰹節を売ってくれる鰹節店に立ち寄ると、山盛りになった削り節を店主が小袋に詰め替えています。「きれいに削られていますねえ」と感心してたら、「これねえ、見た目はそうなんだけど、おいしくないのよ」と、思いがけない一言が。手に乗せてもらったひとつまみを食べてみると、あらら、鰹節独特のじっくりと燻した香りがない。噛み締めてもうま味が染み出てこない…? 「見た目は『本枯れ』風だし、表示まで『本枯れ』ってなってるのまであるんだけど、実は違うのよ」と、不可解なおことば。

最近は、最終のかび付け工程の手前で、完成品として出回っているのが増えてきていて、しかもそうしたものが『本枯れ』として堂々とまかり通っているのだそう。この最終工程を省けば当然、仕上がりが早くなるし、仕事量も減るから、商品の回転がよくなる。「お蕎麦やさんでも、『本枯れ』節使用と謳っていて、これを使っていたりするから、汁を飲んでがっかりしてしまうのよ~」と言っていました。プロの業者から「これで充分」という注文らしく、商売といいながら店主もどこか浮かない顔です。
いまやアミノ酸入りの「風味調味料」しか使ったことがないという消費者がほとんどだし、おひたしにかけたりする削り節も、パックものというのがふつうですから。見抜けないでしょうねえ。
「こういうものが『本物』と名乗って知らない間にどんどん置き換わっていけば、いつの間にかこれが”本物”ということになっちゃってるって思うと、腹立たしいよね」
時間と人の手をかけてていねいに仕事をしていることが仕上がった鰹節にきちんと現れているから、だしとして最高位にあるのも納得と思っていたのに。う~む。鰹節の世界も後継者難というし、「経済効率」という現代の”伝家の宝刀”に抗しきれなくなったということか。いよいよ鰹節も「絶滅危惧種」入りとなるんでしょうか。

待ちわびて届いた秋野菜に感動ひとしお、細胞も小躍り

ボックスを開けるたびに、秋の色に彩られていく野菜たち。2ヶ月ぶりの人参、蕪を見つけて、しばし感動にひたります。人参は、太いものでも親指大ほどで、食べるのがもったいないような。しかし、しかし。食べたい衝動を抑えられるはずがない。この可愛らしい人参と、純白の蕪、秋キャベツは久々の温サラダと相成りました。
予測を裏切る激しい気候変動にも負けずに、逞しく秋を迎えた野菜は、どれも包丁を入れると、パキッと自ら割れるように瑞々しい肌を見せてくれるのに、またも感動。
強火でさっと蒸して、オリーブオイルを細くかけ回し、塩を振って、酢をはらりと散らすだけのサラダ。う~ぅん、ふふふっ…スタッフともども不思議な快感にしばし言葉にならず。
人参、蕪、キャベツとどれも初物なんですもん。一般市場ではいつでも手に入るだろうけれど、待ちわびて口にした瞬間、しまい込まれていた香りや味の記憶までもが蘇り重なって、感動ってこんなふうに押し寄せてくるものなんだなあなどと、いつものことながらしみじみ思います。

そうそう、新生姜もようやく届きました。このごろは、新生姜の顔をみたら、まずは即席醤油漬け。これを新米の炊きたてごはんにのっけて、味噌汁だけあれば、あと何にもいりませんって言いそうになる。ごはんが炊きあがる1時間ほど前に、千切りにした生姜を生醤油に漬けておく、というそれだけのことだけれど、滅法いけますなあ。酒の後なら、なおよろしいですね。醤油は、なるたけ厳選してくださいまし。

不当と思えるほどにお安くて、豆腐づくりの副産物なれど、何ともありがたい素材のおから。鍋に油を多めに入れて、おからによく混ぜ込んだら、火にかけて油を馴染ませ、たっぷりのだし汁と酒、塩、醤油で煮詰める。別鍋で人参、牛蒡、油揚、椎茸を気持ち甘めの味つけで煮いたら、おからへ合流。火を止めてからインゲンを彩りに少しと、長葱の小口切りをたっぷり混ぜ込み、余熱で火を通します。

産直のお気に入り味噌が切れているのだけれど、ぐずぐずと買わないままに、きょうの汁碗は吸い物仕立てで。初物のサツマイモと茄子、油揚、仕上げに、蕪菜も入れて。

本日のお茶

薬草茶(トウモロコシのひげ、ドクダミ) 

本日のおやつ

          

和菓子(塩豆大福、蓬大福、最中)

                                   料理人:よこやま


2008年 7月2日
昼めしの献立 

  • ジャガイモと花ニラのスパイス炒め
  • ツルムラサキ、インゲン、醤油漬ゆで卵のおひたし中華風
  • ズッキーニとキュウリの清まし汁
  • 刻み昆布入りごはん

「紫外線がコワイ!」オゾン層破壊が進んでいます

街路を風を切って走る自転車。ママチャリでもそれなりに快適です。事務所まで30分ほどの道を、排気ガス渦巻く東京ではありますが、朝はやっぱり気持いいな、なんて思いながら走っていると、向こうからくる自転車の人の顔のあたりが真っ黒。え、顔のない人? 一瞬ドキリ。テカッ、ちょっと光ったような? 近づいてくる…見えてきたものは、どうやら真っ黒いプラスチックの日よけ帽――え、サンシェードっていうの? これをすっぽりかぶっていたの。顔も見えないくらい大きいのですよ。けっこうコワイものがあるよ。事務所のしろがね嬢に話では、元々はゴルフ場のキャディさんがかぶっていたものらしい。あちらは炎天下のお仕事だからねえ、なるほど。しかし紫外線対策とはいえ、街中でここまでやりますか。
薬草茶好きの私、ドクダミやユキノシタ、ツユクサなどを軒に干してお茶にしてきてかれこれ25年になりますが、とちゅうから、薬草がパリパリに乾燥するようになっているなあと気づいたのです。そうなった薬草を指で触るともろもろに砕けてしまいます。私よりもっと長年、薬草に親しんできた方からあるとき、「私は、どうも紫外線が強くなったせいじゃないかと思うの」と言われて、こうしたことを研究している人がいるとは聞かないけど、そうなのではと思ったりしています。今年もドクダミは街のあちらこちらで一雨降るごとにお馴染みの白い花も濃い緑の葉も勢いを増していて、逞しいなと感じ入ります。それにしても、にわかに「CO2削減!」の声が高まっているものの、排出最右翼の車規制がいっこうに進まないのはなぜなのでしょう。
ま、肌を守らなくっちゃ、という防衛本能をばねに、こういう方は、大気や水汚染の元凶を断つ行動を起こしているのだろうなと思いたいところではあります。

ツルムラサキ、インゲン、花ニラ…艶やかな緑の野菜たちにクラクラ

ニンニクの芽かと思ったら、野菜についていた説明で「花ニラ」と判明。自分で買って料理したことがなかったけど、何とかなるでしょ。ジャガイモの拍子木切りを炒め、最近目覚めたスパイス、クミンのシードじゃなくパウダーのほうを振って、半分ほど火が通ったところへ、5?くらいに切った花ニラを加えて、さらに炒め、酒少々、塩で味つけした簡単な一品。ジャガイモが少しシャキシャキした歯ごたえに。スタッフは「このシャキシャキ感を残すの、難しいんですよねえ」といって、おいしい、おいしいと食べてくれました。ホントは、ちゃんと火を通したかったんだけど、これでよかったのね。

肉厚で深い緑が艶っぽいツルムラサキ、これもこの夏初めて届いたもの。インゲンと、それぞれさっと蒸しておいて。ゆで卵は、醤油、酒、中華のスパイス八角を2~3片入れて煮立てたところに20分ほど漬けておいたのを半分に切り、皿に盛りつける。残った漬け汁に酢を加えて回しかけ、ゴマ油を最後に少し。ゆで卵と漬け汁に移った八角の香りが鼻の奥をくすぐります。
澄まし汁は、今年の新顔野菜、丸い形のズッキーニ
とキュウリを使って。どちらも瓜類特有のとろみが汁に溶けだして、葛をひいたようになります。
本日のお茶

薬草茶 

本日のおやつ

          

薄荷豆+鉱泉煎餅

                                   料理人:よこやま


2008年 5月20日
昼めしの献立 

  • 人参炊き込みごはん 
  • 大根、人参、春雨の塩味スープ
  • 大根とヒジキの炒め煮 
  • ブロッコリー、初物キュウリ、新玉ネギのサラダ

初物キュウリ見参! 一年ぶりの再会です

前夜から“来るよ”“来るよ“と言っていた予報があたって、大雨が強風ととともに
子どもたちの通学時間帯を狙い撃ち。高校生を暴風雨のなかに送り出すことになった友人が「びしょ濡れになったのでは」と心配そうに語っていました。
「五月晴れ」の季語も霞んでしまいがちなこのごろのぐずぐず天気がじれったくて、思いっきり下駄でも蹴り上げたくなっちまう。(昔はこれで天気を占ったんだものねえ)
そんなときに届いた畑からの野菜たち。箱から取り出した縮緬ヂシャの厚みのあるフレアーはフレンチカンカンのようなあでやかさ、おぉーっ、キュウリの初物も見参なり! 植物が発散する精気ってすごい。まだ口にしていないのに、しゃっきりときつけ薬のような効果あり。最初に手をふれる料理人の特権ですね。
日々の元気は野菜のおかげかな

香り立つ春野菜をいまのうちに味わい尽くしたく、ごはんには人参のみじん切りをたっぷり。刻み昆布少々と塩もほんの少々。炊きあがったら、みじん切りの人参葉を混ぜ込んで。
今週は大根消費週間。溜まった大根を使い切ろういうわけです。
最近は水で戻さなくても使える生ヒジキが出回っているから、これを大根、人参と炒めて、
醤油味で煮詰めます。大根と相性がいい煮干しのだしで煮てもいいですね。サヤインゲンを最後に加え
て彩りに。
文句なしの小気味いい歯ざわり、味噌をつけてかぶりついてもよし、という初物キュウリを本日は酢醤油にゴマ油の香りを効かせたドレッシングで。さっと蒸して甘みが増したブロッコリー、スライスしただけのしゃっきり新玉ネギも加わります。トッピングは煎り胡麻。
塩味スープの具は、大ぶりに切った大根と人参、戻してあった春雨。最後の水菜も入れて。だしは鰹節。
本日のお茶

薬草茶(スギナ、ドクダミ) 

本日のおやつ

          

新潟土産の飴最中

                                   料理人:よこやま


2008年 5月 9日
昼めしの献立 

  • ほうれん草のカレー、ゆで卵添え 
  • 人参、ズッキーニ、茎ブロッコリの中華風味サラダ
  • 塩味スープ(キャベツ、ニラ)

卵かけごはんに”化学調味料”ひと振りの謎

 熱々炊きたてごはんのてっぺんをお箸でちょいと窪ませ、ぽんっと殻を割った卵が具合よく窪みに落ち着けば、ひとりにんまり。ぷっくり、つやつやの黄身、盛り上がった白身。崩すのは惜しいな…なんてひとりごちながら、黄身の真ん中を箸で広げ、ささっと醤油をかけたら、ごはんを巻き込むように混ぜまぜ。ところどころ黄身がごはんの熱で固まりかけるくらいが、わたしの好みかな。
 野菜といっしょに事務所に届く卵は、いつも草や地中の虫などつつきながら歩き回っている鶏さんに菜っ葉やら糠やらあげる代わり(?)にヨコドリしてもらっているもの。卵はいま、市価で15円くらいでしょうか。こちらは40円というわけで、贅沢な卵かけごはんです。これにあと味噌汁とお漬物か佃煮でもあれば、いたって安上がりなれど絶品朝食メニューに。
ところがところが…少し前、テレビのCMを何気なく見ていて、のけぞりましたよ。熱々ごはんに生卵をぽんっ、ここまでは同じ。そこに化学調味料をぱぱっとふりかけて、「卵かけごはんがいっそうおいしくなります」というのね。
卵はアミノ酸の固まりみたいな、旨み凝縮食材なのにねえ。人気急上昇中の”旬”の役者さんの瑞々しい存在感と相まって食欲をそそられそうな映像に仕立てられていますが、鶏飼育の現実とのギャップも思い浮かび、ひどくシラケた気分に。毎度の事ながら、コマーシャルの光と影、考えさせられます。

      
赤い茎のほうれん草をカレーにしてみました

こう書いたところで、本日の昼飯は、卵かけごはんにあらず。インド料理店では定番メニューのようになっているほうれん草のカレーに挑戦です。
ペースト状にまでするのは面倒だし、ほうれん草もたくさん要りそうだしと、横着を決め込んで
これまで自分で作ろうとは思わなかったのですが、届いたばかりのいろんな野菜を新鮮なうちに消化しなくちゃと、思い立ったのがこのカレーづくり。
赤紫色の茎という新品種のほうれん草をひと束ぜんぶ、ざくざくと刻んで。
いつものように、クミンシード、粒胡椒、ローリエ、カルダモン、ターメリック、辛味のカイエンペッパーなどを油で軽く炒め、ほうれん草を入れてさらにひたすら炒める。本当はミキサーなどでペーストにするのかもしれないけれど、そこは適当に。塩、コリアンダーを振ってまたまた炒め、ふたをして蒸し煮に。
最後にガラムマサラを少々。それらしくなったようです。ほうれん草もなんとか二人分の分量に。スタッフs嬢が「オイシイです~」と言ってくれました。
サラダは瑞々しい人参を千切りに。茎がおいしい

ブロッコリーを軽く蒸して。初お目見えの可愛らしいズッキーニは生でスライス。これらを酢醤油にからめ、皿に盛ってから、軽くごま油を回しかけて。
刻み昆布(先日、大横丁通り商店街の鰹節問屋、鵜飼商店にひさしぶりに寄ったら、「昆布チップ」というネーミングでした)でだしをとったスープは、キャベツの千切りと、ニラを具に。味つけは塩コショウと、カレーに合わせて、ガラムマサラを少々。

本日のお茶

カフェマヤのグアテマラコーヒー 

                                   料理人:よこやま