2010年9月9日
●昼めし献立
- モロヘイヤとオクラのネバネバとじ
- ジャガイモ、茄子、グリンピースのサラダ
- 白いごはん
- キュウリとザーサイの塩スープ
本日のオイシイ!
"歴史的"猛暑!(つぶやくだけで暑苦しい…)の夏。
ネバトロ野菜にはお世話になりました。
蝉の合唱がいつの間にか聞こえなくなって、かわって登場したのはスズ虫。夜、家への帰り道、植え込みの奥から一斉に鈴虫が鳴き交わしていたのは、4~5日前のこと。まだまだ昼間は35度という暑い日が続いているのに、と、太陽の傾き、土の中の温度のわずかな変化に反応する虫たちの感度の良さに感心。
いつも通る墓地も、けさはだいぶ静かになって、暑さを跳ね返すように咲き誇っていたサルスベリの花も鮮やかな紅色をくすませ、蝉の季節もさすがに終わりなのだと感傷的になっていたら、ツクツク法師の鳴き声が空気をふるわせ伝わってきました。
きょうもまた残暑の一日です。
先週金曜日のメニューから。
歴史に残りそうな猛暑の夏を乗り切るのに大いにお世話になった粘々コンビ、モロヘイヤ&オクラ。そろそろご奉公も最終ラウンドといったところ。どちらも暑さには強い南国系の野菜。自らの生命維持にもきっとこのネバネバは必要なのでは。ともあれ、夏バテ、熱中症を免れたのは生命力あふれる夏野菜たちのおかげもあってのこと。たっぷりと刻んで、だし汁でさっと煮ただけで、箸にからみそうな粘り強さなのを、さらに卵で閉じました。器のうえで丸まっています。
サラダはジャガイモと蒸し茄子と挽き割りのグリンピースを煮て合わせます。挽き割りになっていると早く火が通るので。ふやかさなくても、20分ほどで使えます。インド料理に欠かせないチャナ豆(ヒヨコ豆)やダル豆なども挽き割りのものがよく使われるようですね。
ドレッシングは、先日一度使った、ホエーをベースにしたもの。
塩と辛みだけで漬けたザーサイを見つけたので、キュウリと合わせて汁に。胡麻油でスライスしたザーサイを炒め、だし汁で、キュウリととともに塩味で煮ます。
コトコト煮れば、ザーサイから出た酸味もほんのりとおいしい中華風スープに。
★★昼飯コラム★
石にこすってネバネバ遊びしてたあれが”ムカゴ”だったんだ
あれがムカゴというものだとは知らなかった。
旧市街の外れ、電柱2本くらいの間、距離にして150メートルくらいが小学時代の遊びのテリトリー。2本目の電柱の”向こう側”は畑や田んぼと、緑濃い小さな林に囲まれた農家の集落が広がって、その電柱が街とむらのゆるやかな境界だった気がする。
もっともそれは表の世界。家々の境には垣根や板塀がたてられてはいたものの、今のようにコンクリートブロックで外から見えないような高さに囲い込むということはなく、からだに蜘蛛の巣をひっかけたり、あちらこちらにすり傷などつくりながら薮を縫い、塀の破れ目をくぐって、おとなの知らないケモノ道を縦横に、秘密基地から基地へと走り回っていた。
わが家は3軒の棟割長屋の端。裏に井戸と、井戸で使う水のせいでぬかるみがちなわずかな庭があったりするくらいだったけれど、反対側の隣家は、“むこう側”の農家の分家で、自給程度ながら畑をもっていた。どんな野菜をつくっていたのか、ひとつも覚えていないものの、秋が深まるころ、破れ塀の内側あたりにビー玉くらいの大きさの黒っぽい塊がばらばらと散らばっているのを、石にずりずりとこすりつけてはネバネバするのがおもしろく、たったそれだけのことなのに、毎年の遊びのメニューにはいっていて、飽きれば次の遊びへと移動。そんなささやかなこともふくめて遊びの種には困らなかった。
スーパーの店頭で「それ」を目にしたのは、東京へ出てきてから、それも90年代にはいっていたような。へぇ~”ムカゴ” …! もしかして…? と俄に興味が湧いて買って食べたのが初体験。少量の油で転がしながら熱して、塩を振る、あるいはご飯に入れて炊いたり。野趣あふれる味わいがぎゅっと詰まった小さな粒にオオーと感動。せっせと石の上ですりおろしただけの子ども時代がなんだかもったいない気がしたものです。
そうそう、近所にあった某国立大学の武道館前の生け垣にもムカゴの蔓が這っているのを発見し、早朝によくムカゴを採取しては、深まりゆく秋の味覚を楽しんだことも。いまはきれいに生け垣も刈り込まれて、風情がなくなっちまいました。
ドクダミ(新潟・松之山産)とヨモギ(ご近所) |
料理人:よこやま