2010年10月6日
●昼めし献立
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ノラのカンパーニュ
- 秋茄子と挽き割りエンドウ豆の塩オリーブ和え
- 牛乳入りマッシュポテト
- 身欠き鰊と野菜の煮き合わせ
- 玉葱のソテー甘酢醤油かけ
- 千切りキャベツとマー坊茄子のスープ
本日のオイシイ!
人間に横取りされながらせっせと卵を産みつづけた鶏も、とうとう肉になってやってきました。ありがたく、骨までしっかりいただきます。南無。
カンンパーニュ、いい感じに焼き上がって届きました。
石臼でゆっくり碾いた群馬県産の全粒粉と天然酵母と海塩だけのシンプルでがっしりとした田舎パン。小麦の旨味が口の中に広がります。
きょうは、素朴な田舎パンによく合うかなと思い、懐かしい牛乳入りのマッシュポテトをつくってみました。バター、マヨネーズ、チーズ…といった洋風のものがきらきらしてみえた時代、ポテトサラダ、ポタージュスープなどとともに、家庭科の調理実習などでつくったもののひとつでした。
”初めてです”と言いながら食べた30代のスタッフ、「おいし~い」。牛乳を飲むと必ずお腹がごろごろいっていた世代の私も、いつのころからかお腹ごろごろがなくなったけれど、そのまま飲む習慣は身につかず、もっぱら料理に使うのみの牛乳ですが、料理にコクがでて、スープの素みたいなものもいらず、調法しますね。
皮までおいしい秋茄子を蒸して、包丁を入れようと触れると、指先が濃い紫色に。
茹でてほくほくにした挽き割りエンドウ豆と合わせて、オリーブ油と塩と、クミンパウダーを振って温サラダに。以前、ネパール料理のお店の人から、シードよりパウダーの方がよく使うと聞いてから、シードの方は煮込みの香りと味のベースに、パウダーはエスニックな香りがちょっと欲しいときなどに手軽に使えます。
上野のアメ横はエスニック素材をそろえている店が何軒もあって、時々寄りますが、豆類やスパイス類も豊富。故郷の国の料理を作ろうと来ている人たち向けなので、一袋の量がたっぷりなのが、ちょっと手に余りますが。
そろりと根もの野菜が恋しくなってきました。中くらいに育ってきた大根もとどき、ジャガイモ、茄子と、米のとぎ汁に一晩浸けて柔らかくした身欠き鰊の煮しめは家でたくさんつくったもの。きょうはそれをさらに煮返したため、茄子は原型とどめず? 多少は見栄えよく、と今週初めてとどいたまだ細身の人参とインゲンを彩りに添えて。
鶏1羽分(胸、腿、手羽、手羽先、ササミ)
玉葱は1センチくらいの輪切りにして、油をひいたフライパンで蒸し焼きに。玉葱にからめるソースは米酢、砂糖か蜂蜜少々、醤油、カイエンヌペッパーを合わせたもの。バルサミコ酢があれば砂糖は不要。蒸し上がった玉葱をほぐしてソースをからめ、盛りつけます。
きのう野菜といっしょに届いた鶏の腿のところの皮だけをだしに使い、昆布とあわせてスープに。具は千切りキャベツとこの夏よく使った細長いマー坊茄子。味付けは塩胡椒で。この鶏肉が臭い匂いがまったくしないのね。肉質もちょうどいいしまり具合。たまの肉はご馳走だわって、ほんと、そう思います。わくわく。
秋茄子と挽き割りエンドウ豆のサラダ
★★昼飯コラム★
菱の実と柴栗と1合枡
田舎の秋、駄菓子屋の店先の大笊に盛られているのは、菱の実(桃の節句に飾られる菱餅も、忍者が追っ手に投げた鉄菱はこれを模したのだとか)と、柴栗。小指の先の一節ほどの大きさの実が黒い皮にぴちっと覆われ、あっちこっちに鋭い刺を突き出している(何十年ぶりかで写真を見たら、刺は2本しかなかった…)菱の実を、子どもたちはみんなあたりまえに歯で器用に割って中身を取り出して食べていた。菱の実が沼に生息する植物と知ったのは、ずっと大人になってから。どちらも1合升で測って、記憶では5円だったような。菱は外見からはおよそおいしそうに見えないけれど、完熟する一歩手前の栗みたいな食感とほろ苦いような独特のおいしさがあって、高校生くらいまでは毎年この秋の味覚を楽しみにしていた。
柴栗は里山で自生していたものだったらしく、田舎では栗と言えばこれ。何しろ1合5円だもの、秋の運動会、遠足には、必ず親にねだってお弁当やリュックに詰めてもらっていた。あの、ねっとりした甘さは忘れがたいおいしさとして記憶に残っている。東京に出てきてからたまに買ったりした高級な丹波栗よりずっとおいしかった気がするのだが、遠く去った時代を思う感傷的な気分も加味されているのだろうか。
小学校に上がる前まで、母の買い物についていっていた八百屋でも、酒屋でも、店の人と母は、何匁(もんめ)だから何円などとやりとりしていたので、すっかりそれで覚えたのだが、入学して体重を測るとき「何貫何匁」でなく、○○キログラム、身長1メートル○○センチと言われ、3年生くらいの時か、教師は「これからは、「1貫」は3.75キログラムという数え方になります」みたいなことを言って、授業でも習わされたけれど、家に帰れば、いたるところで何貫何匁が通用していたし、自分のなかでも1合枡、1升枡も生き続け、50年以上たっても未だに頭の中で換算している。役に立たないんだけど。
上の写真、岡山理科大学植物生態研究室(波田研)HPから拝借。
http://had0.big.ous.ac.jp/plantsdic/angiospermae/
dicotyledoneae/choripetalae/trapaceae/hishi/hishi.htm
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本郷の和菓子やさんで見つけた、草蛙のようなかりんとう。黒砂糖のたれの甘さもほどよく、きさくな駄菓子というところで、お値段もいたって安いのに、アミノ酸なども添加せず、お味はなかなか上等です。
スーパーでは、袋物の駄菓子売り場においてありました。 |
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料理人:よこやま