毎日新聞の朝刊特集記事「もう一度食べたい」は月に一度の私のお楽しみ。先週載ったのは「トマトの古い品種を尋ねあてた」という内容。キーワードは“青くさい味”♪。(毎日新聞 2011年7月26日 東京朝刊http://mainichi.jp/life/food/again/)
「幼い頃に食べた青くさいトマト。種の部分が多く、かじるとチュルーンと出てきました。あのトマトを、もう一度食べたい」とたくさんの読者から声の声に押され、探索を始めたが、もう日本では作っているひとはいないのではと、諦めかけたころようやく作り手を発見。
私も投稿した読者の方と同年齢。夏休み中、母の実家に預けられていた昭和31~32年頃、山の中腹にあるトマト畑まで、照りつける真夏の日差しの下を麦わら帽子をかぶり、歩いた記憶が甦ってきます。子どもの手には余るほどの大きさと横に広がった形。かぶりつくと、指の間から汁が滴り落ち、太陽の匂いが生暖かく口中に広がる。
団塊世代には妙に懐かしいこのトマト。山梨の農家の方がずっと有機農法で作り続けてきて、種も自家採取というのがすばらしい。種苗会社の話では「おそらく明治期に米国から入った桃色系のポンテローザでしょう。トマト臭の強い品種で、形はデコボコの扁平(へんぺい)。甘さ追求の時代に合わず、50年も前に廃れた品種」とのこと。
ふうーん。甘けりゃいいってもんでもないでしょうが。甘みに飢えている時代ならともかく、甘い味で満ち満ちている時代に、さらにさらに甘味を求め品種改良は進んでいくのでしょうか。