昼めしコラム
子離れの母さん旅立ち、仔猫は路地に居場所見つけて
御年3歳になる同居猫にねだられ、寝不足でふらつく足を気にしつつしぶしぶ向かいの公園へ。そこそこ広い公園にはすでに円を作るように先客たち。N H Kラジオ体操の曲が流れ始め、20名ほどだろうか、みなさん、おもむろに手足を動かし始める。ああ、新鮮な朝の空気が体に流れ込み気持ちよさそう。あ、6時半かと、脳内のスイッチが入る。
体操を終えて帰路につく人たちの賑やかな会話や、歓声をあげながら走り回る子どもたちに耳で反応しつつ、風子(勝手に名付けました。先祖代々ノラ育ち)は紫陽花の茂みに身をひそめ、体を投げ出して土や草の感触を楽しんでいるよう。
公園には犬連れが圧倒的に多く、今のところ、猫は風子1匹くらいか。成猫よりも小さな室内犬から、ゴールデンレトリバーまで、15分くらいの間に5〜6匹は通りかかるが、風子はこの構えのまま、茂みの向こうを通り過ぎるだけなら、騒ぎ立てもせず、やり過ごしている。けれど相手が臭いをかぎつけ近づくや突如毛を逆立て、犬に喧嘩をふっかけるのだ。雀に鳩、蝉、蝶、ヤモリ、鼠と、次々家に運び込んでは嬉々として遊びまくっているから、狩りには自信があるらしい。後始末をさせられるこっちは閉口していますがねえ 。
1週間ほど前のこと、あっちからもこっちからも飼主に連れられた犬たちが増えてくるので、面倒なことにならないうちにと公園から風子を連れ出し、やれやれと声をかけようとしたら、すぐ後ろにゴールデンがついてきているではないか。
先方は図体が大きいからチビ猫を怖がったりはしないのだろう、なになに…? という感じでこちらへ一歩進もうとしている様子に見えたけれど、風子の方は尻尾を3倍ほどにも膨らませ背中の毛をいっぱいに逆立て戦闘態勢に。無言でジリッジリッと寄っていく。焦ってなだめる私のいうことなんて耳には入っていない。
いやぁ〜、魂消た。これまでにも、外から猛然と猫が飛び込んできたり、友だちの子どもが拾ってきた猫を引き取ったりと、長い間にはいろんな猫が家に棲みついたけれど、間近にこんな勇ましい猫を見たのは初めて。
ゴールデンとの対決は、緊張が最高潮に達したところで、犬の応用さに助けられといっていいのだろうか、いつの間にか逆立てた毛を収め、毛づくろいなどしている風子。ゴールデンもまた何事もなかったように振りかえりもせず穏やかな表情で歩き去ったのでした。(と) 2019.5.28
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