2010年9月15日
●昼めし献立
- 豆腐のハンバーグ風トマトソースかけ
- たたきキュウリと生ヒジキ、春雨の塩ポン酢即席漬
- ごはんと味噌汁(間引き大根菜と油揚)
本日のオイシイ!
トマトに醤油や昆布のだしが馴染むのは不思議? それともあたりまえ?
硬い大豆が海のにがりの助けをかりてふんわり真っ白な豆腐へ。実際に作ってみると何やら化学の実験のようでもあり、かつ神秘的でもあり。そうして生まれた豆腐の何と魅惑的なことか。もっとも、私も豆腐大好き人間のなかには入るだろうけれど、“偏愛“というほどにあらず。百種料理に挑戦といった好奇心より、どちらかというとあまりいじらず豆腐のおいしさを素直に味わいたいほう。
この豆腐バーグも、厚揚げの外側を外して中身を崩して、卵とパン粉を少しと刻んだシシトウを加えて混ぜ合わせ(きめ細かくするか、粗めにするかは好みで)、俵型に丸めてフライパンで焼くという簡単料理。がんもどきの生地をひとひねりすれば、ね。
トマトをざくざくと刻み、粗みじんに刻んだ玉葱といっしょに酒と醤油で煮詰めたソースが豆腐バーグと違和感なかったのはもうけものかな。トマトに含まれる天然の旨味グルタミン酸ナトリウムが、醤油や昆布のような伝統的な旨味とよく馴染むんですね。当然といえば当然かも。
前日の塩ポン酢漬けの漬け汁が残っていたので、それを少し増量、叩きキュウリと、熱湯をくぐらせた生ヒジキと春雨を加えて和えました。何十年と、ヒジキといえば乾物が常識で、たぶんどこの家でも乾燥ヒジキが台所の引き出しに常備されていたはず。それがこのごろは生のヒジキが生鮮品の売り場に並ぶように。おから煮や大豆、蓮根などと煮たりしていたのが、酢の物・サラダなどフレッシュな使い方にも手軽なので、ちょくちょく使います。うれしい素材のひとつ。
刻んだ昆布や鰹節の出しし汁、塩、米酢や柑橘酢を合わせれば何回分かの漬け汁がかんたんにできるので、市販の即席漬けを買うことはないけれど、あの“アミノ酸”味がほとんどの浅漬け食品、なんとかならないものですかねえ。
★★昼飯コラム★
”水切り”のひと手間が省けて
横着者にはありがたい厚揚げ活用術
ふと、チャンプルー作ろとか、白和えが食べたいなという気分になって、あ、豆腐の水切りをして…それに10分か15分かかるなと思ったとたん、面倒くさくなり、たちまち、ま、いいわ、温奴くらいでとか、味噌汁に入れよ、などと宗旨変えすることも多かったのが、あるとき、厚揚げの外側と中身を使い分ければ! と閃いた(というほどでもないか)。
厚揚げの外側をうすくそいで、こちらは炙って生姜や茗荷などの薬味をのせたり、おひたしに入れたり、もちろん味噌汁にも。中身のほうはそのまま水きり豆腐と同じように使えるので、この横着な手法、忙しいときには調法しますよ。
最近はお店で“水切り不要”というガッシリした豆腐も売られているし、沖縄の島豆腐も近くで買えるようになったしと、豆腐好きにはうれしい近年の豆腐事情であります。
『豆腐百珍』なんて本が江戸時代にベストセラーになったくらい、食卓に馴染んできた豆腐。醤油とともに今や欧米でもJapanese food の代表として入手も容易とのこと。
1960~70年代ころには「殺菌剤」が添加されたり、強力な凝固剤でプリンのような水増し豆腐が大手を振ってまかり通っていて、独り暮らしをはじめた当時、5年あまりも豆腐を買わない食べないと、ささやかな抵抗を続けたすえ、「手づくり豆腐キット」なるものを早稲田夏目坂の自然食品店で見つけて、豆腐好き復活。薄給のなかから大豆も氷も砕けるという(そんな機能いまじゃあたりまえ?)ミキサーを購入、生まれて初めて見る“海水から取ったにがり”なるもので温めた豆乳にそっと入れ、ふわふわと豆腐が分離してくる様子に感動したもの。自前の豆腐を作った、あの時代から比べたら豆腐も本来の姿が甦ってきてずいぶんとよくなったなあと感慨深し。
しかしこの間、化学物質大国米国で遺伝子組み換え植物を開発。世界中のマーケットを席巻してきている。その筆頭が、大好きな大豆というのが悩ましい。
ドクダミ(新潟・松之山産)とヨモギ(ご近所)…夏のあいだずっと、来客にもこれでした。 |
料理人:よこやま
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