聖護院蕪をコトコト煮れば、口のなかでとろけます
「蕪蒸し」は分不相応でも、しっかりだしをとってゆっくり含め煮にしたら、薄味のだしがやんわりと沁みこんだ蕪、いくらでも食べられますね。小さな本郷大横丁商店街で堂々、良品鰹節を扱い続けてきた問屋、鵜飼商店から買う本枯れ節の削りたてを欠かさないようにしているのが、当事務所唯一のぜいたくですが、味噌汁でも何にでも使うと言ったら、鵜飼商店の奥さんが「え~~、味噌汁にこの鰹節使うのぉ~ 贅沢ねえ!」と目を丸くしていましたっけ。
大根や、冬瓜や、この聖護院蕪などはだしをよく吸うので、鰹節もけちらないようにします。本枯れ節は、全然生臭さが残らず、上品なだしがとれるのは、さすが。けれど、だしの味が勝ちすぎないよう、鰹節の使いすぎには気をつけます。野菜そのものから出るだしや、豆の煮汁など他にも材料そのもののもつ旨味を生かすというのは、基本中の基本ですけどね。
酒少々と塩、ほんの少し醤油をさして味をつけたところに、乱切りにした蕪と人参を入れてゆっくり煮ていきます。火加減は、中火から煮立ってきたところで弱火に落として、コトコトと。蕪に味が半分くらいはいってきたかなと思ったところで、火を止め、粗熱がとれるくらいまで置いて味を含ませます。
大き目の鍋にたくさんつくって、何回かに分けて、食べるのもいいですね。
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