日々のたより

の終わりに、荒川クリーンエイド・フォーラムとえどがわエコセンター主催のシンポジウム『プラスチックによる海洋汚染を止めよう!』に行って来た。ここのところ新聞でも取り上げられ、気になる話題だったので。第一部の基調講演の登壇者は、この分野の世界的第一人者である、東京農工大学の高田秀重教授。貴重な話をうかがった。

ではわたしたちの暮らしには欠かせないほどに大活躍のプラスチック製品。年間約3億トン以上が生産され、そのうち1億トンがごみに。その中からリサイクルの道筋から外れたポイ捨てや雨風で飛ばされたごみ、下水道からなどで海に流出しているごみが800万トン。その800万トンのうち、2012年の時点では27万トンが、マイクロプラスチックのごみだという。

マイクロプラスチックごみとはいったい何か?通常のプラスチックごみが海で漂ううちに、紫外線や波の力でやがてボロボロになり5ミリ以下になったものをそう呼ぶ。もとを辿ると、プラ製品全般、ポリエステルなどの化学繊維、洗顔料や歯磨き粉などに含まれるマイクロビーズ、今流行の“削って汚れを落とすタイプ”のメラミン製スポンジなどである。微細なため回収も不可能で、このままいくと2020年までに海洋中のプラスチックが魚の総重量を上回るとも言われている。

問題は、この微細なプラスチックは環境中の有害物質を集める性質を持ち、生態濃縮するということだ。実際、高田秀重教授たちによる東京湾でのイワシの調査では、64匹中49匹に平均約3個のマイクロプラスチックが見つかった。そのイワシをさらに大きな魚が食べて有害物質が蓄積されていき、やがては人間の口に入る。アメリカの研究所のある実験ではマイクロプラスチックを摂取した小魚に肝機能低下・腫瘍、生殖能力低下などの報告があがっている。

そもそもこの有害物質はプラスチックを固形化するときの添加剤。粉々になる中で海の中に添加剤が溶け出すという。またたとえマイクロプラスチックを摂取した生物がマイクロプラスチックを排出したとしても、有害物質は体内に残る。現時点では人体に影響を及ぼすほどの量ではなくても、見過ごすことの出来ない深刻な問題であるという認識で、日本を始め世界各国で問題解決に動き出し始めている。

国際的には予防原則に基づき、レジ袋やペットボトルの削減や廃止、マイクロビーズの配合禁止などの動きが出てきており、深刻化したプラスチックの海洋汚染が国際的に共通した懸念として国連をはじめ国際条約などの議論が始まっているそうだ。

(報告:やまうち)