昼めしコラム

とげ抜き地蔵で賑わう巣鴨駅の隣の駅は「西巣鴨」ですが…
  朝の都営地下鉄・西巣鴨駅。だだっぴろい道路が交差する上方を、高速道路がのしかかるように大きくカーブを描いている。住んでいる地域からそう遠くないけ ど、通り過ぎるだけだった西巣鴨。用を済ませるまでに30分近く待ち時間があったので、朝ごはんぬきで20分ほど歩いてきてお腹も空き気味だったし軽い朝 食でもと思い、適当なカフェはと見渡したが、見当たらない。表通りだけでなく路地の奥ものぞいたが、灯ともしころに開きそうな店ばかりだ。風が勢いよく通 り抜けそうな大きな交差点の向こうに見えるマクドナルドの看板も気のせいか小さめ。たぶん中・高生のたまり場になってるだろうなと、食指は動きませぬ。

パ チンコ屋や、ドトールのようなチェーン展開のカフェがあって…と漠然と描いていた駅前風景とちょっと違うような。さらに目を凝らしてみる。あ、小ぶりなが らスーパーもある。で、カフェは?と、回り込んでみたら、ありました。構えはチェーン店タイプだ。そろりと扉をあけ、入ってみると、カウンターには食事パ ンが数種類選べるようになっている。焼きポテトカレーパンというのを1個選び、コーヒーも頼みます。店内は思ったより明るく、ゆったりした雰囲気。

お客さんは10人くらい。年齢層は高め(こちらも高めデスが)。よく来ているお客さんが多いようで、50代くらいの女性も、杖をわきに抱えた60代後半とおぼしき男性もカウンターのスタッフと慣れた雰囲気で会話を交わしたりしている。

あ、全席禁煙じゃないんだ。私が座った隣席の30代後半くらいの女性は2箱目の煙草の封を切っている。

2テーブル先の男性が新聞を読み終えて立ち上がったので目をやると、はきなれた感じのジーンズに渋めのチェックのシャツとベストというおしゃれが身についている。年齢は70代後半といったところ。肩にななめにかけたポーチもからだに馴染んでお似合いでした。

出勤前の短い時間に、スマホをいじりながら、せかせかとモーニングサービスのトーストをかじっている人たちの波が去ったあとに、ゆったりとご自分の時間を楽しんでいるふう。店 のスタッフもマニュアルではなく、落ち着いた身のこなしで注文を捌き、マニュアル対応に違和感を覚えてきた年齢層のお客さんをほっとさせている様子。それ が店全体をくつろいだ感じにしているのだなと、私も自然とゆったりとした気分に。街に溶け込み、存在感とでもいうものを醸し出しているカフェ。少なくなり ましたね。

貴重です。こんどは週末に散歩がてら自転車で来てみようかな。