2002年11月15日 発売
新版 アテルイ
はるかなる母神の大地に生きた男(ひと)
愚安亭 遊佐/高橋 克彦/又重 勝彦
定価:1800(税込:1980)円
ISBN:4-916110-73-0 2002年11月発行
A5判 並製 183ページ
母の母の母の、さらに遙かな母のときから、自然とともに暮らしてきたアテルイたち。大地を追われ歴史の闇にその存在をかき消された縄文の民たちの声が、自然破壊と魂の荒廃の極みに到ったかにみえる現代の舞台によみがえる。ひとり芝居『アテルイ』のシナリオと、新たな考証のもとに歴史を問い直す「アテルイの生きた時代」(この章・又重勝彦執筆)とで構成された初版に加え、吉川英治文学賞作品『火怨—北の燿星アテルイ』もある岩手県盛岡市在住の作家、高橋克彦氏との対談を所収。
<本文・対談より>
高橋——アテルイのときだけじゃなくて、それ以降の藤原氏あたりまでエミシの民は一度として戦を仕掛けたことはないんですよ。これは明治維新のときだって、奥越列藩同盟の戦だって、基本的に彼らは一歩も出てないわけで、全部受けて立っているんでね。
(中略)
愚安亭——東北が朝廷側に支配されて稲作が導入されるまでは、東北はすごく豊かだったと思うんです。まず北上川にしてもいっぱいサケ・マスが上りますし、私が生まれた下北半島一円もそうですね。
(中略)
高橋——至るところでエミシとは何ですかと言われたときに、もちろん歴史も大事なんだけれども権力にね、その理不尽な権力に抗う心を持つ人々が、つまりエミシなんだと。…
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